読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

バスティーユの陥落 小説フランス革命Ⅱ  佐藤賢一著  集英社  2008年

 ミラボーが導き、ロベスピエールが考え、デムーランが動く。
 革命の火種に注ぐ流血。
 屈服か、前進か。武器をとれ、名もなき人民よ。(帯文より)

 パリに到着したミラボー伯とロベスピエールはパレ・ロワイヤルに向かう。偶然そこに居合わせたのはデムーランとその婚約者リュシル。デムーランの劣等感を見抜いたミラボーはデムーランを炊きつけ、暴動を起こさせる。ルイ15世広場でドイツ傭兵部隊を退け、テュイルリ宮の庭園で巻き返されながらも、平民出身者の多かったフランス衛兵隊を味方につけ、それはとうとう蜂起となった。パリ市は民兵隊を組織、武器弾薬の調達も兼ねてバスティーユに向かう。バスティーユにいたのは大部分フランス廃兵とわずかなスイス人傭兵、多少の銃撃戦にはなったものの、結局跳ね橋はバスティーユの方から降ろされた。
 バスティーユの陥落に勢いづくヴェルサイユミラボールイ16世にパリへの訪問を提案、国王はパリ市民に歓喜を持って迎え入れられた。人権宣言、続いて憲法の制定。ミラボーの思い描いていた順番とは逆になったものの、革命はなった。国民議会の暴走、貴族の逆襲を怖れて王の拒否権を認めるよう主張するが、議会の反対に会い、王の無理解もあってなかなか進まない。
 業を煮やし、今度はパリの女たちがヴェルサイユへ向かう。多数の貴族が持てる限りの現金を持って国外に亡命したことから、失業者は増えるわ高級店は商売あがったりだわ、何よりフランス内で貨幣が不足し、日々の買い物にも困るようになっていた。
 王様にパンを都合して貰おう。5千人のパリ女がヴェルサイユ宮に押しかける。ルイ16世は王妃や子供を伴って露台に姿を現し、女たちの「国王にパリの様子を見て貰おう」の声のまま、一家そろってパリへと連れ去られてしまう。
 王を、国父を失っての革命は暴走し荒れる。先を予見していたのはミラボーだけだった。恐れる中、オーストリア大使がミラボーの元を訪れる。フランス王が、漸くミラボーを頼りにした瞬間だった。…

 1巻でちらっとしか出てこなかったデムーラン大活躍。でもまだ婚約者との結婚は許して貰えません。
 『ベルばら』の、「バスチーユに、白旗がぁぁ!」の実態ってこんなものだったの?(笑) 何か有難味が薄れていくわ(苦笑;)。
 フランス革命って行きあたりばったりだったんだなぁ。崇高な理想があった訳ではなく、感情の赴くまま、なりゆきまかせ。ミラボーがはたして本当に先を見据えていたのかどうか知りませんが、結局血腥くなってしまうんですよね。ミラボーの、議論と論争の違いの説明は物凄く納得しました。譲歩し、補い合っていくのが議論、押しつけるのが論争。この先「論争」が幅を利かせ、意見の違う者を排他して行くんでしょうね。
 ミラボーの体調はよくないまま、パリの富裕層と貧困層の対立もあらわになって来ます。次は3月発行かぁ、また回って来るのに時間かかるんだろうなぁ。