読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ジロンド派の興亡 小説フランス革命Ⅶ  佐藤賢一著  集英社  2012年

 小説フランス革命、第二部再開。シリーズ七冊目。

 財政再建途上、軍隊破綻のまま戦争へ突入。
 ロベスピエールジロンド派の対立
 革命の停滞か、急進か。
 政敵の反撃の中、再起をかけて。
                                   (帯文より)

 革命の余波を受けて、フランス植民地カリブの島々で反乱が起きていた。おかげで農作物の価格は高騰、パリ市民の暮らしはいよいよ苦しいものに。第三身分の平民の間でも能動市民と受動市民、すなわちブルジョアサン・キュロットとの対立が深刻化していく。
 ブルジョア出身のジロンド派は、海軍の英雄デュムーリエを取り込んで海軍びいきの王の機嫌を取り、内閣の中枢に陣取る。主戦派に傾くジロンド派の面々を閣僚に迎えることは、敗戦を狙う国王の狙いとも合致した。
 果たしてフランスはオーストリアとの戦争に突入する。国軍、民兵寄せ集めのフランス軍は当然勝てる筈もなく、王は閣僚を罷免、フランス国民の支持はジロンド派から離れる。それを取り戻そうと計画した6月20日、王の逃亡未遂ヴァレンヌ事件に因んだ蜂起も、それを予想していたルイ16世に拒絶された。
 もう一度蜂起を。ジロンド派のためではない、庶民の為の蜂起を。ダントンの説得にデムーランも応じる。一貫して反戦論を唱え続け、今一度パリ市民の支持が高まっていたロベスピエールを担ぎあげようとした矢先、凶弾がロベスピエールを襲う。
 すっかり怖気づいて下宿先から出て来ないロベスピエールに、ダントンは語る。部屋から出て来なくてもいい、「理想を語れ、マクシミリヤン」と。…

 今まで描かれていなかった女性活動家が登場。今も昔も、女性人権活動というのは女性同士の中にも敵がいるようで(苦笑;)。うちの一人、マノン・ロランはジロンド派の影の中心人物。夫を盾に、名より実を得ようとします。それにしても、ルイ16世が本当、気骨のある人物に描かれてるよなぁ。実は有能な人だったのかしら。
 ロベスピエールへのダントンの言葉、「理想を語れ」にはちょっと感動しました。揺らがない理想を。一本筋の通った、目指すべき場所を指し示している道しるべを。多分、自身で後年歪ませていくことになるんだろうけれど。
 2年近く間が空いたため、なかなか色々忘れていました; 読み返した方がいいんだろうなぁ;;