読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ダ・ヴィンチ・コード (上)(下) ダン・ブラウン著╱越前敏哉訳 角川書店 2004年

 米国では2003年に出版。
 ネタばれしてます、すみません;

 ルーヴル美術館館長ジャック・ソニエールが殺された。ソニエールは苦しい息の下、最後の力を振り絞って自らの死体に意味を持たせる。美術館内のグランド・ギャラリーで、ダ・ヴィンチの最も有名な素描<ウィトルウィウス的人体図>を摸した形で横たわり、さらに、死体の周りには複雑怪奇なダイイング・メッセージを残す。犯人を示すためではなく、自分だけが知る秘密を後世に伝えるために。
 殺害当夜、ソニエールと会う約束をしていたハーヴァード大教授ラングドンは、フランス警察に捜査協力を依頼される。しかしその実、彼は容疑者として拘束されようとしていた。
 ソニエールの孫娘で暗号解読官でもあるソフィー・ヌヴーは、ラングドンは祖父を殺していないと判断、彼を逃がす決意をする。時間が無い間をぬって二人でダイイングメッセージのアナグラムを解き、不思議な美しい十字型の鍵が絵画<岩窟の聖母>裏に隠されているのを見つける。
 そのまま車で逃走し、二人は鍵が示す場所――スイス銀行へ。祖父がそこに保管していたのは紫檀の箱“クリプテックス”、ダ・ヴィンチが開発した秘密文書入れ。正しいパスワードで開封しないと中のパピルスは溶けてしまう。
 二人を追って来た警察から逃がしてくれたのは銀行支店長のヴェルネだったが、二人を追い詰めたのもヴェルネだった。ラングドンがソニエールを殺したと思い込み、また警察からもソニエールの遺品を守ろうと二人を襲う。ラングドン達は隙をついてヴェルネから逃亡、ラングドンの友人で宗教史学者のリー・ティービングに助けを請う。
 ティービングの邸宅でソフィーは、ソニエールが隠していたのはおそらく聖杯の行方で、その聖杯とはキリストの妻マグダラのマリアを示していると説明を受ける。新約聖書は布教に都合のいいように編纂された作品でしかなく、マリアの墓は延々と守られ、またキリストの系譜も脈々と続いていると。
 聖杯の存在を知られたくない原理主義の宗派もソニエールの秘密を、つまりはラングドン達を追い、ティービング邸へ。警察にも追われ、ラングドン一行はティービングの自家用機でイギリスへ逃げる。
 二重構造のクリプテックスも、聖杯の在り処をイギリスと示していた。聖杯はどこにあるのか、暗号を解くたび現れる詩が指し示す場所は、ソニエールを殺した原理主義者を、陰で操っていたのは誰か。誰が味方で、誰が追跡者か。ラングドンは漸く真実に辿り着く。…

 あまりにも有名なベストセラー。映画はTVで見たのですが、原作に忠実に作られていたんですね、驚きました。…とかいいながら後半の展開すっかり忘れてましたけど。
 いや~、面白かった。上巻読むのに一週間かかったときはどうしようかと思ったのですが(ちゃんと面白かったのに!)、下巻はそんなにかかりませんでした。本当、これは映画化し易い筈だわ。ロケ場所の全面協力さえあれば。
 推理小説としては、登場人物が少ない分どうしても犯人の察しがついてしまいましたね。でも動機が思いつかないなぁと思ってたら、これは予想外。でも納得できました。
 というか、推理物としてよりもこれは色々な知識を楽しむ、みたいなことの方がメインでした。アナグラムとかは英語の知識がないと無理だし、詩の解読もそちら方面の基礎教養が絶対に必要な内容でしたし(苦笑;)。金星が8年がかりで五芒星を描くとか、オリンピックの開催時期がそれを元にしているとか、キリスト教に土着の宗教が色々組み込まれていることとか、新約聖書だのテンプル騎士団だのシオン修道会が出来た経緯とか、もう楽しい楽しい。あんなに女性を持ち上げてくれる説が出て来ると妙に嬉しかったですね(笑)。ダ・ヴィンチの絵画についての解説は、映画公開当時様々なTV番組で取り上げられてましたっけ。
 色んな宗教に無頓着な日本人だから余計に面白がれるのかも。真面目に怒る人もいるだろう内容ですものね。