読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

野球の国のアリス 北村薫著 講談社ミステリーランド 2008年

 多少ネタばれになってるかもしれません、出たばかりの本ですみません;

 中学生になる春休み。アリスは新聞記者の宇佐木さんが大慌てで走って行くのを見かける。何となく気になって追いかけて行くと、何と宇佐木さんは路地の時計屋の鏡にとろとろ入ってしまった。
 続いて鏡の世界に入るアリス。こちらの世界はアリスの世界から半年くらい先で、アリスの世界ではおとなしい読書少年だった安西君が何と野球をしているらしい。しかも全国最弱の野球チームを決める逆トーナメントの決勝戦に、今度出場するんだとか。
 そんな大会は間違っている。私が投げて勝ってやる。何故ならアリスはずっと少年野球でピッチャーをやっていたのだから。でもアリスは鏡の国のルールを把握しきれず、返って皆に大恥を掻かせてしまう。当然、ゲームも大負け。
 もう一度、名誉挽回のチャンスが欲しい。やはりこんな大会あってはならない、と思っていた宇佐木の計らいで、安西君のチームは表大会の優勝チームと対戦できることになる。勿論、アリスも飛び入り参加。アリスの世界でバッテリーを組んでいたキャッチャーの兵頭君と、気障で嫌味だけど野球は滅法上手い五堂君も巻き込んで、日本一強いチームと日本一弱いチームとの試合が始まった。それはアリスにとって最後のマウンドでもあった。…

 アリスはもう野球をやめちゃうんだね~。好きだからこそこれからは男子との差がどんどん開いて行ってしまうことに気付いてしまうんだけど。
 こういう作品を読むと、那須雪絵の漫画『天使とダイアモンド』を思い出してしまいます。甲子園を目指す高校野球部の面々の物語。多分途中で打ち切りになった感じで(でもその割には文庫版で出版されてるので、隠れて人気はあったのかなぁと思ったり)、最終回でその後の展開がざっとダイジェストみたいに描かれます。「明日高校野球に女子参加が認められることになるかもしれない、その時に『やっておけばよかった』と後悔したくない」と話す女子部員が、結局グラウンドにも入れず、「私をこの中に入れてよ」と金網にすがる場面は凄く印象に残っていて、「これ読みたかったなぁ」とつくづく思ったのを今でも覚えてます。
 …アリスも続けて欲しかったなぁ。多分、少年野球に参加している大多数の女の子の姿なんだろうけど。で、だから野球を続ける女の子の漫画なんかが描かれて、現実でもクローズアップされたりするんだろうけど。
 話自体の面白さより、別の連想をしてしまった作品でした。