読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ハンサム・ガール 佐藤多佳子著 理論社 1993年

 「わたし」柳二葉の家は変わっている。ママが会社でばりばり働いて、パパが家事や育児に勤しんでいる。そんな家庭を、二葉も姉の晶子も少し恥ずかしがっている。勿論、パパもママも大好きなんだけど。
 パパは元プロ野球選手で、二葉はパパに野球を仕込まれた。サウスポーでアンダースローから投げる球はコントロール抜群、手元で伸びるなかなかのもの。何とか野球をしたいと思っていたら、地元の少年野球チーム・アリゲーターズに入団できることになった。
 だけど、上手く行かないことも多い。チームメイトには、女が入って来たことを嫌がる連中もいる。新人戦で初登板して相手をノーヒットに抑えたものの、二葉のチーム内での立場は却って悪くなった。精神状態はピッチングに響き、さらに悪循環を繰り返す。とうとう練習もさぼるようになった頃、ママも会社で対人関係をこじらせ、病気になってしまった。もしものことを考えてパパは保父試験を受けると言いだし、女三人で家事労働の大変さを思い知ったり。
 「まわりとうまくやるところまでが、本当のチカラ」
 ママの言葉に、二葉も頷く。二葉は再び、チームの夏合宿に参加する。アリゲーターズの慢性的なコーチ不足にパパの名が候補に上がって、二葉は複雑な気分。パパは大好きだけど、主夫をしているパパをチームメイトに紹介するのは抵抗がある。でも、皆に上手く溶け込んでいくパパを見て、二葉の考えも変わって行く。自分らしいのが一番いい。
 そして秋、少年野球連盟の大会が始まった。…

 「小学五年生」に連載されていたと言うことで、テーマはジェンダー、ってとこでしょうか。いや、個性かな。
 周りとうまくやる所まで、ってのは耳が痛いですね。確かに理想を言うとそうなんだけど。有能であることは持って生まれた才能の占める部分が大きいし、人間関係は努力で何とかなるかもしれないけど。改めて小学五年生くらいの子供には伝えよう、って感じかなぁ。個性で協調性を抑えつける、ってのが『バッテリー』だったよなぁ、とちょっと思い出しました。…認められるか認められないか、これも男女差が大きいかもなぁ。