読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

きみはポラリス 三浦しをん著 新潮社 2007年

 恋愛をテーマにした短編集。
 ネタばれあります、すみません;

 『永遠に完成しない二通の手紙』
 岡田勘太郎のアパートに寺島良介が飛び込んで来た。二人は幼なじみ、惚れっぽい寺島は岡田に、この間合コンで知り合ったOLにラブレターを書くから手伝えと言う。

 『裏切らないこと』
 息子の勇人が生まれてから、妻の恵理花から仲間はずれにされている気がする。岡村健は義母の夕子に、自分の両親が不仲だったこと、そんなときによく逃げ込んだ隣家の老夫婦の思い出を語る。

 『私たちがしたこと』
 友人・美紀子の結婚式に合わせて、ウェディングドレスを縫う朋代。夜な夜な針を動かしながら、美紀子は朋代に、恋をしないのかと訊く。高校の時付き合っていた黒川俊介が忘れられないのではないか、二人に何があったのか。美紀子の結婚式で再会した俊介は朋代に、「俺がしたことを全部忘れたふりで、ふりがふりでなくなるまで忘れて、楽しく暮らす」よう言う。
 
 『夜にあふれるもの』
 学生の頃から人知を越えた何かに浮かされていた友人・真理子。中高の時はミサに、大学に入ってからは恋愛に。「真理子がおかしい」と真理子の夫・木村芳夫に相談を受けた直後、真理子が「私」吉崎エルザを訪ねてくる。お腹の子は神の子だ、イエスさまのところへ挨拶に行く、と話す真理子。木村と真理子、真理子の同棲相手・有坂の4人で、夜の高速道路を飛ばす。

 『骨片』
 蒔田朱鷺子は女だてらに大学へ行き、先生に恋をした。卒業後、今まで修めた学問を生かすことなく家業を手伝う毎日に、絶望感に苛まれる朱鷺子。やがて先生の訃報が届く。取り乱しながら葬儀に出席した朱鷺子は、発作的に先生の骨片を掠め取る。

 『ペーパークラフト
 この頃、夫・村田始の出張が多い。水族館で偶然出会った夫の後輩・熊谷勇二は、その後村田の家を訪ねて来る。ペーパークラフト作家だと言う勇二が、息子・太郎の好きな電車の工作キットを手みやげに、頻繁にやって来る目的は何か。

 『森を歩く』
 私・森田うはねは松尾捨松と同棲を始めて貧乏になった。捨松の職業は何か見当がつかない。アマゾンだのヒマラヤだの、しょっちゅう旅に出てはふらりと帰って来る。年に一度か二度、50万だの100万だのと言うお金をぽいと手渡される。ある日決意して捨松の後をつけるうはね。捨松はどんどん山奥へ入って行く。

 『優雅な生活』
 ロハス生活に打ち込むことを宣言するさより。同棲してる俊明は文句を言うばかりでまるで協力してくれない。とうとう切れて思いをぶちまけるさよりに、今度は俊明がロハス生活を実践する。しかも、さらに徹底的に。

 『春太の毎日』
 俺は春太、麻子と一緒に暮らしている。俺という者がありながら、米倉と言う男とも付き合い始めた。米倉にプロポーズされて、麻子は悩んでいる。

 『冬の一等星』
 私・映子は八歳の時、誘拐された。車の後部座席で寝ていたら、文蔵に自動車泥棒されてしまった。そのまま大阪に向かう文蔵。文蔵は、母親と折り合いの悪かった映子の話を、正面からきちんと聞く。

 『永遠につづく手紙の最初の一文』
 高校の文化祭、岡田勘太郎と寺島良介は体育倉庫に閉じ込められてしまう。付き合っている彼女との待ち合わせに遅れてしまう、と騒ぐ寺島を横目に、岡田は寺島との今までを回想する。

 これ書くまで気が付きませんでした。最初の話と最後の話はリンクしてたんですね。『永遠に完成しない~』の中の台詞「俺がずっと一緒にいるよ」は読んでてちょっとどっきりしてしまいました。…やっぱりそう言う意味だったのね~。
 『私たちがしたこと』はちょっと感動しました。『森を歩く』も最初はどうなるかと思ったけど後味よかった。『春太の毎日』は結構最初の方でネタが判りましたが(いや、猫と少し迷ったけど)、可愛かったです。
 …何だかんだで三浦さんの作品読んでるなぁ。