読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

幻想郵便局 堀川アサコ著 講談社 2011年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 短大を出てなかなか就職が決まらなかった安倍アズサが、アルバイトにに雇われた先は登天郵便局。履歴書の特技に書いた「失せ物探し」が認められたから、らしい。場所は小学校の遠足で登ったことのある狗山の天辺、でもその頃には郵便局などなかった気がする。案の定、その郵便局は10年前にできたとのこと、しかもそこにあった神社を潰した後に。
 通勤初日に心霊スポット・狗山ドライブインの廃墟に迷い込むわ半分焦げた女性・真理子さんに出会うわ、あまり幸先がよくない。その上、漸く着いた登天郵便局はこの世とあの世の境目にあるとかで、赤井局長が世話するお花畑を通って続々死者があの世に旅立って行く。気味が悪いと翌日退社届をファックスするが、何故か送信できない。しぶしぶ郵便局に行くと局員たちは諸手を挙げて大歓迎、この土地の権利書――起請文を探してくれと言う。元々あった神社とのいざこざがまだ解決していないらしい。
 地元の博物館にあった隕石が盗難され、神社の祭神・狗山比売が復活した。容赦なく局員たちを退治する狗山比売。命からがら逃げたアズサは、助けてくれた怨霊・真理子さんを殺した犯人を突き止める。
 医者の愛人だった元キャバ嬢の真理子さんを殺したのは、医者自身か、何かと嫌がらせをしてきた医者の奥さんか、真理子さんが付き合っていた暴力癖のある工務店の長男か、また別の誰かか。
 そしてアズサは、そこに狗山神社を見つける。昔からそこにあったかのように。…

 う~ん。何かちょっとまとまりがないかなぁ。
 多分、連作短編向けの内容なんでしょうね。死人とのほのぼのしたエピソード(?)を積み重ねつつ、殺人事件の真相とか狗山神社との攻防とかを明らかにしていくと言う。それにしてもどちらをメインにするのか、芯がはっきりしてない感じ。「探し物が得意」って特技も、それまでの積み重ねがなくて今イチ伝わって来なかったし。
 で、私が個人的に眉を顰めたのは、いかにも続編ができますよ、という終わり方。漫画でも映画でも勿論小説でも、これやられるの私苦手なんですよ。長編ならなおさら、この一作で燃え尽きます、全て注ぎこみました、って勢いで書き上げろよ、とか思ってしまう。…となると、今回あまりノれなかった理由は個人的な好みと言うことか。
 ふんわりした雰囲気は良かったんですけどねぇ。