読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

一瞬の風になれ 1 ――イチニツイテ――  佐藤多佳子著 講談社 2006年

 2007年本屋大賞受賞作品。

 プロのサッカーチームからスカウトが来るような兄・神谷健一に惹かれて、でも追いつけなくて、神谷新二は進学した春野台高校ではサッカーを辞めて陸上部に入る。
 練習から試合から、何もかもが初めて尽くし。幼馴染みで天性の才能を持つ一ノ瀬連に引っ張られるように、新二は短距離走や400mリレーにのめり込んで行く。
 インターハイ予選〈県大会〉では一走に選ばれ、三年生の分まで走る。地元の高校が合同で開く合宿に参加、連ともども他校の先生に睨まれる。夏休み、国体予選を兼ねた県記録会に、しかし連は来なかった。イタリアにいる母親の元へ行ったきり、ガールフレンドが出来て夢中になっていると言う。誰もが羨む才能を惜しげもなく無駄にする連を許せず、怒る新二。気まずいまま迎えた新人戦地区予選大会400mリレー(4継)で、新二から連へのバトンパスは驚異的に上手く行き、春高は新記録を出す。
 二週間後、新人戦県大会。新二は100m、200m準決勝止まり、4継はバトンパスで失敗。連は関東選抜に進む。
 400mに燃える色黒のにやけ男・根岸康行。とにかくジンクスを気にする浦木先輩、頼もしい部長・守屋先輩。連のライバル、鷲谷高校のエース仙波はパワフルでまるで連とは違うタイプのスプリンターだし、高梨は試合前にへらへら話しかけてくるような傍迷惑なヤツ。気になる女子、谷口若菜は仙波に惚れているらしい。新二の新たな挑戦が始まった。…

 一気に全三巻読みたかったんですが、ちょっと順番来ませんでした、残念;
 もうそろそろ書架に並ぶかな、と思う頃に本屋大賞を受賞。慌てて予約入れたんですが、時既に遅し(笑)。回って来るのにこんなに時間かかりました(笑)。
 生まれついてのラテン系、練習も苦にならず弟の劣等感が理解できないサッカー馬鹿・神谷健一。柔らかい身体と奇跡のような運動神経、お手本のような走り方をし、でもスタミナが足りない一ノ瀬連。兄と連、二人の天才を目の前に、サッカーボールを扱う器用さや瞬発力には欠けるものの、下半身に強力なバネを持ち、いくら走っても走り負けしない心身を持つ新二は新たな才能を開花させていく。
 思い切り走ることが気持ちよく書かれていて羨ましい。自分の体を思うとおりに動かせる、動かせるようになるって凄いなぁ。私は逆上がりもできない運動音痴ですから余計に(笑)。
 才能を持った人がそれを生かす努力をしない、ってのは確かに歯がゆいよなぁ。『のだめカンタービレ』もその辺りのこと描いてたりしましたが、その努力をすることまで含めて「才能」と言うのかもしれない、と思ったり。決して速くはないけれどこつこつと努力する谷口さんが好感持てます。
 さて、新二の努力は報われるのか、速くなるのか(勿論なると思うけど)。次巻が楽しみです。