読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

バビロンまでは何マイル㊤㊦  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/原島文世訳 東京創元社 2006年

 イギリスでの出版は1997年。『花の魔法、白のドラゴン』の前日譚。
 ネタばれあります、すみません;

 多元宇宙全体を魔法で管理する世界。魔法管理官“マジド”の役職についているルパート・ヴェナブルズは地球出身。魔法を信じない「負領域」の地球で旧ユーゴと北アイルランドの平和に奔走して帰って来たばかりだと言うのに、コリフォニック帝国に呼び出される。裁判に立ち会ってくれ、との依頼につきあってはみたものの、それはどう考えても猜疑心に駆られた暗君・ティモス九世が理不尽極まる理由で自分の息子を処刑しただけだった。こんな帝国長くは続くまいとのルパートの予感に違わず、後日帝宮の大広間に爆弾が落とされ、数々の后妃もろともティモス九世は暗殺されてしまう。難航したのは後継者選び。皇位継承に関する情報は何重にもロックされていた上、皇子・皇女たち本人は何も知らされないまま偏狭の地でケンタウロスのクナロスに育てられていた。
 一方、ルパートの師スタンが死んでしまった。こちらのマジドの後継者も選ばなければならない。候補者5人は国籍も居場所もてんでばらばら、何とかかんとか運命線を操って候補者を一箇所に集めたものの、その場所は“イギリス幻影大会”SF・ファンタジー読者の大会会場ホテル。何故か隣人・アンドルー・コニックまでついて来る。鏡張りの廊下、コスプレしたマニアたち、一癖も二癖もある参加者。誰か魔法使いが異世界に通じる交点をいじった気配もある。
 あちらの世界とこちらの世界、忙しく飛びまわる中、クナロスも、傍にいた皇子たちも殺されてしまった。マジド候補の一人マリー・マロリーも交点に巻き込まれて半分に分割されてしまう。マリーの従弟・ニックとクナロスの甥・ロブは彼女を救おうと、伝説の地バビロンに向かう。
 息子ニックを皇位に就けようと画策するジャニーン、彼女と手を組む魔法使いグラム・ホワイト。邪魔になるルパートたちを殺そうと、数々の罠を仕掛けてくる。さて、次のコリフォニック帝国皇帝は誰なのか。…

 相変わらず、てんやわんやの大騒ぎ。訳わかんない所も多々あるんですが、読んじゃうんだよな、楽しいなぁ。この辺りはマザーグースだの何だの、イギリス特有のことわざとか民間伝承とかも関わってくることでしょうから、もっと私に知識があればますます面白いんでしょうけど。
 初めは憎憎しかったマリーがどんどん可愛くなってくる。全ての謎が最後に終結、見事にハッピーエンド。
 ただ、この挿絵はどうなんでしょう。かえって作品の雰囲気邪魔してるだけに思えて私には気に入らないんですが;