読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

天は赤い河のほとり 2~9巻 篠原千絵著 少コミフラワーコミックス

 ユーリとカイルは、ティトを助けようと皇妃ナキアの宮へ。当然ながらティトの存在は否定され、あくる日ティトは無残な姿で発見される。自分を責めるユーリ。日本に帰る儀式中、ティトを殺した男・カシュガ族のズワに邪魔されたこともあって、この地に留まりティトの仇を討つことを決意する。
 そのカシュガ族が、神殿都市アリンナを襲った。アリンナはティトの故郷。ティトの姉ハディ、リュイ、シャラはティトを殺したのはユーリだと偽の情報を吹き込まれ、カイル皇子と共に遠征に来たユーリを殺そうとする。だが反対にユーリはティトの親族の信頼を得、当時貴重だった鉄の精製技術を託される。その鉄剣を持ってズワを倒す。
 自分の無力さを痛感したユーリは武術の稽古に励む。一方ミタンニ王国との開戦が決まり、カイル皇子の腹心の部下・第4皇子ザナンザが登城。ナキア皇妃の手によって自制心を失ったザナンザはユーリに惹かれるまま、彼女を攫って国境の同盟国キッズワトナへ。その時、キッズワトナはミタンニ王国の黒太子マッティワザの急襲を受ける。
 混乱の中、漸く我を取り戻すザナンザ。ユーリを連絡役として、何とかミタンニ軍を退ける。
 いよいよ本格的にミタンニ王国との戦いが始まった。ミタンニ軍が駐在する城砦都市マラティアに、カイルはユーリ達を伴う少人数で乗りこみ、内側から陥落する。戦いのさ中、皇子と離れたユーリは敗走するミタンニ軍に見つかり、捕まってしまう。捕虜となったユーリはミタンニ王国首都ワスガンニに連行され、戦神イシュタルとして獅子と戦うよう強いられる。何とか勝ったユーリは捕虜の待遇改善を要求し、自身は黒太子の後宮に入れられる。
 カイルがワスガンニを攻める時、必要なものは何か。ユーリは捕虜のヒッタイト人を把握しようと、怪我人や病人を集めた“安息の家”の環境整備に努め、結果ミタンニ人の人望も集める。
 怒涛の勢いでミタンニに攻め入るヒッタイト軍。ユーリ達も呼応しワスガンニを落とすが、黒太子はユーリを人質に取って敗走、城砦都市カルケミシュに立て籠もる。
 籠城して4ヶ月、餓死者も出る中、とうとうカルケミシュ内で反乱がおきる。ミタンニ国王が殺され黒太子も襲われる中、女官に変装したカイル皇子がユーリを救いに来る。黒太子は自身の黒曜石の額飾りをユーリに渡し、側室ナディアの故郷バビロニアに逃れる。
 急ぎハットゥサに戻ろうとするカイルとユーリ。だが何者かに橋が落とされ、水の季節のうちには間に合わず、ユーリは再び日本に還る機会を逃す。
 戦勝祝いも束の間、エジプト王妃からの書簡がヒッタイトに波紋を巻き起こす。ヒッタイトの皇子をエジプトの王に迎えたい、と言う申し入れにザナンザが応じ、ユーリは国境までザナンザを送ることに。だが途中、皇妃の放った刺客に襲われ、ザナンザは殺されユーリも深手を負う。
 皇妃の刺客はエジプト兵を装っていた。このままでは両国は戦争になる。ユーリは偶然出会ったエジプト兵ラムセスの助けを借りて国境の町・エネサに辿り着き、そこでエジプトの潔白を証明する。
 ハットゥサを伝染病・七日熱が襲う。国王シュッピルリウマ一世が崩御、アルヌワンダ二世が即位。皇太子候補にはカイルと、皇妃ナキアの息子・ジュダの名が上がり、皇妃はカイルの評判を落とそうと、カタパの町に偽のイシュタルを仕立てあげる。ユーリは単身カタパに乗り込むが、偽イシュタルとその後ろ盾ウルヒに、七日熱の患者ばかり集めた“谷”に落とされる。そこで病人の看病に励み、食糧や医薬品の確保に市長と渡り合うユーリを見て、市民はユーリを、引いてはユーリを側室に迎えたカイルを支持。カイルは皇太子に立つ。…

 二巻でイル・バーニと三姉妹登場。
 三巻でザナンザ皇子、マッティワザ黒太子、4巻で戦車隊長カッシュ、歩兵隊長ミッタンナムワ、弓兵隊長ルサファ、ウルヒ・シャルマも顔見せ。
 7巻でジュダ皇子、8巻でザナンザ皇子と入れ替わるようにラムセスとウルスラが登場。
 カイルの部下たちなんか、最初の方から出てきてたんですね。順番はともかくエピソードは色々覚えてて、だからこの人たちが後々どうなるのかも知ってるから、ちょっと感慨深くなってしまいました。
 ミタンニの侵攻を矢で判断したりする辺り、結構最初の方からやってたんですね。
 ユーリが騎馬で戦場に乗り込む、鉄剣を選ぶ等、偶然に頼っていた前半から、療養所を整える、自分に突き立った矢を証拠とする等、どんどん有能になるユーリ。予防接種を受けてた等の現代人ならではのラッキーも生かしつつ、周囲の人を魅了していく。こんなに「美人じゃない」「やせっぽち」って言葉が繰り返されてたとは思いませんでしたが。
 常々思ってるのですが、少女漫画で男の人をかっこ良く描くには、ヒロインて重要ですよね。とにかくヒロインを魅力的に描かないと、「何でこんな女の子を好きになったんだろう」って相手役の価値まで下がってしまう。
 連載時、エジプトからヒッタイトへの書簡、続くザナンザの死のエピソードに驚いたのを思い出しました。それまでこの漫画が「史実に基づいてる」とは思ってなかったんですよね。ちゃんと「面白~い!」って読んではいたんですが、これ以降「ナメてました、ごめんなさい」と平謝り。姿勢を正して読む切っ掛けになりました。
 さて、カイル皇子の過去の女も出てきました。10巻へ続きます。…それにしても秘宝“竜(イルヤンカ)の眼”はどこへ行ってしまったのやら。