シリーズ2冊目。連作短編集。
夏ひすい
左手を捻って痛めてしまった治兵衛。上新粉もうまく捏ねられらくなって困っていた折も折、店の前に行き倒れていた男を拾う。男の名は雲平、京など各地で菓子修行をしていたらしい。命を救われた礼に、と男は「かわいそうな上新粉」で菓子を作って見せる。
吹き寄せる雲
雲平は弟弟子に会いに、江戸に戻って来たらしい。弟弟子の亥之吉はとある武家のお抱え菓子職人として雇われていたが、その雇い主が突然死して、亥之吉も行方不明になったとのこと。気落ちする雲平を、怪我が治るまでの間だけでも、と治兵衛は自分の店に引き留める。
つやぶくさ
身元の知れない男を雇うことに、猛反対する治兵衛の弟・石海。寺の住職をしている石海は、趣味人で知られる亥之吉の雇い主のことを知っていた。
みめより
雲平を訪ねてきた女は、雲平や亥之吉の修行先の娘だった。亥之吉を見かけた、との相談だけだったのだが、治兵衛の娘 お永にはどうやら落ち着かない出来事だったらしい。
関の戸
お永の元の亭主 修蔵は、自身よそに女を作ってお永と別れたのだが、今は後悔してお永とよりを戻したがっている。だがお永の方の気持ちが、どうやらゆらいでいるらしい。
竹の春
店の前に佇んでいた武家の子供は、亥之吉が仕えていた日野家の嫡男 亀之進だった。亥之吉が得意としていた菓子を再現して差し入れする治兵衛たち。亀之進は、おじいさまを死なせたのは自分で、亥之吉はそれを庇ってくれたのだと告白する。
亥子ころころ
亀之進が、日野家自慢の名茶碗『黙』を割ってしまったショックで、日野家の先代当主は倒れ、帰らぬ人になってしまった。だがその様子を聞いた亥之吉は、亀之進のせいではないと言い置いて行方をくらませてしまったという。治兵衛もその話を聞いて、現当主 基知に真相を尋ねる決意をする。…
前作から何年経っての続きだっけ、内容ほとんど覚えてなくてですね、ただ残ってるのは「面白かった」という印象のみ(…;)の状態で読みはじめました。
…よかった、この一冊だけでも楽しめました。いや、読み進むうち思い出したこともあったんですがね;
相変わらず、西條さんの職人ものって面白い。どうもこれはシリーズ化されそうな気配、表紙もシンプルで可愛くて、一目で前作の続きって分かる装丁でいいなぁ。楽しみです。