読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鬼平犯科帳[決定版]4 池波正太郎著 文春文庫 2017年 

 初版は1976年、シリーズ4冊目。

 霧の七郎
 絡んで来たごろつきを追い払った手腕を見て、霧の七郎は行きずりの浪人 上杉周太郎に長谷川平蔵の息子 辰蔵殺害を依頼した。だが、上杉浪人は結局辰蔵と意気投合、あっさり暗殺をやめてしまう。上杉は長谷川平蔵らと同門の剣士だった。

 五年目の客
 強盗の引きこみを担当している江口の音吉が、旅籠 丹波屋の女房・お吉とあいびきしている。実は五年前、遊女だったお吉は音吉から五十両を盗んで逃げており、偶然の再会に怯えて躰を差し出していたというのが真相だったが、音吉の方はすっかり健康的に面変わりしたお吉に気付かず、浮気者の女房と楽しんでいる、と思い込んでいた。怯えが最高潮に達し、音吉を殺してしまうお吉。一方、長谷川平蔵らも音吉を仲間とする羽佐間の文蔵一味の捕獲を狙っていた。

 密通
 平蔵の妻の母方の伯父 天野彦八郎から、横紙破りな依頼があった。曰く、屋敷内で起きた盗みの犯人 遠藤小助を捕まえて欲しいというもの。くれぐれも秘密裏にという天野に疑問を抱いていると、奉公人から色々な情報が飛び込んで来た。遠藤小助と一緒に、御用人の妻お米も姿を消しているらしい。一見駆け落ちに見えた騒動だが、裏には天野の非道が隠れていた。

 血闘
 おまさは、平蔵が若い頃世話になった盗賊 鶴の忠助の忘れ形見。十やそこらの頃に平蔵と行き別れたが、二十年後に再会した。幼い頃からの恋心を秘め、おまさは密偵として働きたいと平蔵に申し入れる。そのために賊に攫われたおまさを追って、平蔵は一人渋江村の荒屋敷へ向かう。

 あばたの新助
 真面目な同心 佐々木新助が浮気した相手お才は、大泥棒 網切の甚五郎の女房だった。佐々木は脅されて、火付盗賊改方の情報を甚五郎に流すこととなる。密告者の存在を確信しながらも特定できない平蔵。だが、何気ない平蔵の言葉に、佐々木は何もかも見通されていると勘違いし、お才と共に出頭しようと決意する。

 おみね徳次郎
 網切の甚五郎の配下 山彦の徳次郎は、いよいよ仕事が始まるとあって女房おみねを殺そうとする。所がおみねも実は同業者で、大盗 法楽寺の直右衛門の女だった。あまりの肝の据わり具合に怯え、不審に思う徳次郎。一方、おみねは町中でおまさと出会い、近況報告に興じるが、おまさはこれを平蔵に流した。結果、平蔵は法楽寺の直右衛門一味を一網打尽にするが、網切の甚五郎は逃がしてしまう。

 敵(かたき)
 岸井左馬之助は、越後と上州の境目 三国峠で盗賊の決闘に出くわす。若い男は年輩の男を父の仇と呼び、だが年輩の男は身に覚えがない様子。年輩の男は大滝の五郎蔵、確かにかつて若者の父親 五井の亀吉と組んでいたが、関係は良好だった。仕方なく若者を返り討ちにした後、五郎蔵は十年前の手下の一人、小妻の伝八の行方を探す。伝八は亀吉に、仕事のやり方でこっぴどく叱られたことがあったのだ。伝八に罪を擦り付けられたのではないかと江戸を駆けずり回る五郎蔵。だが、五郎蔵の行く先々で昔馴染みが殺されて行く。やがて、五郎蔵自身の前に伝八が現れた。

 夜鷹殺し
 夜鷹が惨殺される事件が続いている。捜査に本腰を入れない町奉行所に業を煮やし、平蔵が一人立ち上がった。おまさを囮に、一人の容疑者を釣り上げた。川田長兵衛、妻に続けて先日長男を亡くしたばかりの旗本。真面目で誠実な人柄に犯人との決め手がないまま、平蔵は張り込みを続ける。…

 江戸時代というのはこんなにも盗賊が多いものなんかい、と誤解をしてしまいそうなこのシリーズ。池波さんは清純清楚な女の子より、酸いも甘いも嚙分け手練手管も練達した熟女(?)がお好きなようで、それに翻弄される男連中も妙に幸せそうなのが何だかなぁ(苦笑;)。
 密偵としておまさが登場、職人肌(?)の大盗 五郎蔵も仲間に加わる様子です。
 次巻に続きます。