読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

いわいごと 畠中恵著 文藝春秋 2021年

 『まんまこと』シリーズ第8弾。連作短編集。

 こたえなし
 三人の男が富くじを買って、十五両が当たった。揃って旅行にでも行こうか、という話が、行き先を巡って諍いに。伊勢か大山か箱根、だが話を聞くうちに、麻之助は三人の悩みが別にあることに気が付いた。惚れた女の子が親の借金を肩代わりして苦しんでいること、店を持てるようになれないこと、屋台店を開きたいが元来の愛想なしが災いしておそらく繁盛しないだろうこと。麻之助はそれぞれの解決法を考える。

 吉五郎の縁談
 相馬吉五郎に縁談が進んでいる。同心から与力への出世話も上がっていてめでたい事尽くめ、所が吉五郎の御用箱から血まみれの刃物が見つかった。誰がそんなもの入れたのか、怪しいのは縁談相手北山家にたかっている旗本 川端だが、方法が分からない。御用箱は目の届かない所に置くものではないと、吉五郎に付いて持ち運んでいる中間に、麻之助は話を聞く。

 八丁堀の引っ越し
 相馬家の出世が決まって、家も引っ越しすることに。麻之助や清十郎も手伝う中、屋敷に泥棒が入った。だが、調度品はそのままで、荒らされたのは文机のみ。賊は何を探していたのか、どうやら過ぎた賄賂で降格させられた前与力と関係しているらしい。賄賂を贈った相手も中追放になっている沙汰、前与力は罪のない両替商に濡れ衣を着せたのだとか。真の賄賂の贈り手を突き止める証拠は出るのか。

 名指し
 先日亡くなった町名主の支配町の、継ぎ手が見つからない。一時的に麻之助が請け負うことになり、隣町の町名主 西森金吾の娘 和歌に手伝って貰いながらあれやこれやの面倒を見る。慣れない場所で目の回るような忙しさ、お雪との縁談も流れてやけくそになった麻之助は、自分はもう関わらない、候補の三人で月替わりで勤めた後で、町の人で決めてくれと言い放つ。三か月後、町人が選んだ支配人は。

 えんむすび
 麻之助に一気に三人、縁談が来た。だがどれも曰く付き、武家奉公に出る筈だという噂のある娘、もう既に恋仲の相手がいるらしい娘、とある大名に見初められて側室に入ると話題の娘。そんな娘たちの縁談が何故麻之助に来たのか。

 いわいごと
 西森名主の娘 和歌と麻之助の縁談がまとまった。お雪も料理屋 夏月屋へ嫁ぐことが決まった。所が、お雪の持って行った持参金 土地の͡沽券状が消えてしまったという。夏月屋おかみの紗々女が相談を持ち掛けて来て、調査に乗り出した麻之助。お和歌の推測で物はすぐ見つかったが、誰がそこに隠したのか。お和歌は、あまりにもしっかりしたおかみと、任せきりの息子への疑問を口にする。…

 『まんまこと』シリーズ、相変わらず色々忘れてましてですね; お雪さんって誰だったっけの世界、自分の記憶力のなさが恨めしい(苦笑;)。ただ、麻之助、お雪さんとはとうとうくっつきませんでした。…意外。代わりと言うか、いきなり出てきたお和歌さんと、あっさり夫婦になってしまいましたよ。まぁお和歌さん名主の娘だし、家業が一緒、ってのは大きいですよね。江戸時代ならなおさら。色々想像力の逞しいお嬢さんぽいのが楽しみです。さて、あとは吉五郎の嫁取りですね。
 今回、ちょっと魔が差したというか、小さな妬みが引き金になった事件も多かったような。ちょっとやりきれない感じもしつつ。
 次巻に続くんでしょうね。