読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鬼平犯科帳[決定版]3 池波正太郎著 文春文庫 2017年

 シリーズ3冊目。1975年発刊の文庫本の新装版。
 ネタばれあります、すみません;

 麻布ねずみ坂
 〔土蜘蛛の万五郎事件〕以来、長谷川平蔵は中村宋仙に指圧に来て貰っている。中村宋仙には京都に置いてきた女 お八重がいた。大坂の香具師の親分 白子の菊右衛門の妾だと知らず手を出して、その代わり五百両で売ってやると言われた女、そのために三年間、金を送り続けていた。なのに、ある日いきなり中村宋仙は刺客に襲われる。相手は白子の菊右衛門の手の者で、送金が途絶えたからだと言われた。

 盗法秘伝
 体を壊した平蔵は、いったん火付盗賊改方を解任された。暇ができたこの機会にと、平蔵は木村忠吾を供に連れて、京都へ墓詣でへ行くことにする。
 駿河で追われていた男女を助けた平蔵は、善八と名乗る老人に見込まれ、盗賊の跡取りにならないかと持ち掛けられた。泥棒稼業に加担した平蔵は、善八が書いた盗みの指南書〔お目あて細見〕を譲られる。

 艶婦の毒
 京都に着いた平蔵と忠吾。忠吾は一人の年増女お豊と知り合い、夢中になっている。どんな女かと調べてみた平蔵は驚いた。お豊は、平蔵が若い頃のめり込んだ女盗だったからだ。当時の捕物をすり抜け、今も盗賊の虫栗一味の一員として働いているらしい。お豊の様子をこっそり伺う平蔵は一味の男に狙われるが、逆にそれを捕え、京都の奉行所と共に虫栗一味を一網打尽にする。

 兇剣
 京都愛宕山にて。平蔵たちは、男に追われていた若い女を助けた。女はおよねと名乗り、奈良見物に出かける平蔵たちについてくるという。大泉の祖母に育てられたおよねは旅館出雲屋に奉公していたが、ある夜、白狐の谷松に襲われ、逃げるうちに、主人 丹兵衛が大坂の同心 稲垣鶴太郎を殺す現場を見てしまった。およねの逃亡を助けながら、平蔵まで刺客に狙われることになる。危機を救ったのは、昔からの友 岸井左馬之助だった。

 駿州・宇津谷峠
 東海道・袋井の宿場にて。岸井左馬之助は、三十年振りに幼馴染みの鎌太郎と出会った。旧交を温めたい左馬之助だったが、鎌太郎は逃げるように宿を出てしまう。しかも彼を追って来たと思われる男を殺していた。翌日、阿知ケ谷の街道から外れて用を足していた木村忠吾は、やはり草むらで囁きかわす男女の声を聞く。その場で女を殺してしまう男。忠吾は男が左馬之助の名を口にしていたことを平蔵に告げ、平蔵は男を追う。鎌太郎は盗賊に堕ち、仲間と共に得た金の分け前を増やそうとしていた。

 むかしの男
 平蔵が留守の間に、妻女・久栄の元に一通の手紙が届く。久栄が平蔵と結婚する前に因縁のあった男 近藤勘四郎からだったが、久栄は近藤を冷たくあしらった。近藤は老女おすめと組んで養女のお順を誘拐、久栄は佐嶋与力に相談し、隠れ家を突き止めてお順を救い出す。

 池波正太郎による長谷川平蔵解説「あとがきに代えて」収録。

 木村忠吾の道化っぷりがますます冴える一冊(笑)。京都までの道中でも色々やらかします。暖かく(?)見守る平蔵、盗賊にスカウトされてそれに乗ってみたり、これ「懐が広い」で許されるのか!?(笑) 左馬之助との友情も微笑ましい。
 昭和の時代をつくづく感じるよなぁ、女性はすぐ襲われるし、盗賊側も与力側もばすばす人殺すし。江戸時代、実際の治安はどんなだったんだろう。
 お店を襲うのに何年もかけて準備して、その間は按摩や料理人として働いてて、しかも腕がよかったり……って、もう真っ当に働けや!と突っ込みたいことやまやま。それで十分暮らして行けるやん;
 盗賊連中も微妙に繋がっていて、短編と言いながら完全に独立していません。…覚えてられないよう、うう…;
 長谷川平蔵は実在の人物だったそうで、生い立ち等もそのまま作品に踏襲されているとか。どこまでが史実なんでしょう、盗賊連中も実際にいたのかしら。
 次巻に続きます。