シリーズ3冊目。
ネタばれあります、すみません;
リモート怪異
コロナ禍で、元の職場の先輩とリモート飲み会をしたユリエ。やはり別のリモート飲み会で心霊現象で担がれた、とのエピソードを話す先輩の後ろに、パジャマ姿の小さな子供が写っている。
戸口で招くもの
物置代わりの小屋に誰かが住み着いているらしい。覗きに行った所有者が見たのは、頭部と両手首のない幽霊だった。手招きのような動作をするそれを怖れて、濱地探偵事務所に依頼が来る。周囲に聞き込みをすると、どうやらもう一人、共にその小屋で生活していた男がいたようだ。衛生観念に欠けていたと証言された男のバックボーンを、濱地は推理してみせる。
囚われて
探偵事務所にノイズまじりの電話「タスケテ」が掛かってきた少し前。ユリエの恋人叡二の先輩のライター残間は、占い師に「妙なものが憑いているから」と護符を貰った。だが、心霊現象を信じない残間は、その護符をマンションの戸口に貼ったまま、郷里の長野へ戻ってしまう。濱地とユリエが電話番号から住所を探索し、偶然ユリエに連絡を取った叡二はその番号に息を呑む。
伝達
赤波江刑事は偶然、自転車転倒の現場に居合わせた。誰かがロープを張って通行者を引っ掛けた悪質な悪戯事件、被害者は昏倒したまま意識が戻らない。刑事は被害者が、濱地探偵事務所の電話番号のメモを持っていたことに気づく。被害者本人が心霊現象に悩んでいたのではないらしい。赤波江刑事は、被害者を見舞いに来る友人に目を向けた。
呪わしい波
昔からたびたびあった金縛りが、この頃酷くなっている。経営している骨董店を買い取りたい、と不動産屋が申し入れて来てからだ。様子を見に来た娘が、そのあまりのやつれように驚いて、濱地に調査を依頼する。どうやら新しい常連客や、店主が先日から仕入れた数々の品が怪しいようだ。
どこから
おかしなものの気配がする、と依頼があり、キャンプ場に泊まり込む濱地とユリエ。果たしてテントの周りを徘徊する〈影〉の気配を感じる。どうやら近くの心霊スポット、廃ホテルから来たらしい。
病気が治らず譫妄状態に入った男性患者は、ゼリー状のものに襲われていた。馴染みの看護師に呼ばれた濱地たちは、そのものがどういうものか周囲に聞き込みを始める。一年以上前に家を引っ越した患者は、隠し部屋を見つけたと従姉に連絡をしていたらしい。助けようとする濱地に、ゼリー状のものは標的を換えて乗り移り始めた。…
このシリーズの中でもコロナは猛威を振るっているようで、有栖川さん、現実世界の状態を作品に組み込むことを、一種楽しんでいるような。
都市伝説の雑学も増える一冊(笑)、妙にユーモラスな一面もあり、気軽に楽しめました。何だかんだ深刻なことにはならないですし。濱地先生のスーパーマンっぷりにも磨きがかかりましたね、濱地先生は退治法というか解決方法をどうやって学んだんでしょう。ユリエさんの成長も著しいです。