連作短編集。
ネタばれになるかな、すみません;
駆け出しの貧乏ライター湾沢陸男――この男の行くところに、奇っ怪な事件あり。癖の強すぎるスタッフが集うウェブマガジン『アウターQ』。エンタメサイトのはずなのに引き寄せてしまう、ホンモノを……。『笑う露死獣』『歌うハンバーガー』『飛ぶストーカーと叫ぶアイドル』ほか、七編を収録。すべての記事が繋がるその瞬間、突き落とされる世界とは? ホラー界の俊英が描く、あなたのヨミを必ず裏切る新感覚ミステリー! (紹介文より)
笑う露死獣
ネタに困った駆け出しウェブライター湾沢陸男は、小学生の頃よく遊んだパンダ公園を訪ねた。お目当ては小さい頃友達と見た落書き、「露死獣」で終わる漢字の羅列。不可解で不気味な文字列を、先輩ライター井出と共に今更ながら解いていくと、電話番号らしきものにまで辿り着いた。
歌うハンバーガー
女性フードライター守屋雫が、拒食症克服の証として選んだのがハンバーガー屋。スピリチュアル系だと噂のその店を取材すると、雫は湾沢に決意表明する。
飛ぶストーカーと叫ぶアイドル
地下アイドル篠原亞叉梨は、ストーカーに襲われて負傷したが、名前を変えて再起を図る。その復活ライブの取材に湾沢は同行、熱狂した観客の一人はクラウドサーフィングで舞台上へ。亞叉梨の身を案じたファンの一人はその観客を刺してしまった。全てを見ていた地底アイドル練馬ねりは、あれは茶番だ、と指摘する。
目覚める死者たち
14年前、花火大会で起きた将棋倒し事件。湾沢と井出は共にその被害者として知り合った。今その歩道橋が心霊スポットとして怪談のネタになっている。取材に乗り出した湾沢は、その場所にさまざまなデマが飛び交っていることを知る。
見つめるユリエさん
夢の中で見る女性に恋をしている。その女性は、幼い頃実家に飾ってあった絵だと分かった。依頼を受けて、湾沢はその絵のモデルを探し始める。絵の中の野菜と額縁から大阪へ、額縁屋の情報を経て該当者らしい人物の家へ、依頼者は辿り着いた。
映える天国屋敷
不可思議なオブジェで飾り立てた木造家屋を取材した湾沢。家主の羽山は過去を覚えていないらしい。アウトサイダーアートに感動した湾沢は羽山宅を「天国屋敷」と命名、ウェブ記事で絶賛した。「天国屋敷」には人が訪れ、羽山もウェルカム状態で大喜び。だがやがて二階バルコニーが落ちて負傷者が出る騒ぎとなる。
涙する地獄屋敷
天国屋敷を取り上げた湾沢はバッシングにさらされた。だが調べて行くうち、バルコニーが倒壊するよう、切れ目が入れられていたことが判明する。犯行目的は何か、そもそも湾沢に取材依頼したのは誰なのか、何故なのか。湾沢は自分が知らず犯していた罪に直面させられる。…
都市伝説から犯罪へ、怪談からミステリーへ、かと思うと心霊へ、サイコパスもかなタンス的には何でもありで、でも途中で推理小説に舵切ったのかしら、探偵役の練馬ねりが第三話から出てきましたものね。何でも有りな分 結末の幅が広くて、到達点は見えませんでしたし意外でした。いや、でも井出さんの喋り方はいらいらしたわ(苦笑;)。
実際のあの事件をモデルにしたんだろうな、というのも見え隠れしつつ。もうちょっとオブラートにくるめなかったかな、と個人的に引っかかる面もありました。
それにしても、作者、阪急宝塚線好きだなぁ(笑)。