読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

敗北からの芸人論 平成ノブシコブシ 徳井健太著 新潮社 2022年

 負けを味わった奴だけが売れる――。笑いに救われた男が熱く語るお笑い考察。
 次々と後輩に追い抜かれて酒と競馬に明け暮れた加藤浩次が掴んだ思考法、長い下積みを経て今売れまくるオードリーの瞬発力、爆発的ブレイクのかまいたちが覚醒した理由――。どん底から這い上がった21組の生き様を、ノブコブ徳井が熱を込めて語る!
 連載時累計700万PVを突破した、誰もが共感できるお笑いエッセイ。  (出版社HPより)

 新聞の書評欄で紹介されていて、興味を持った一冊。
 平成ノブシコブシの徳井さんで私が真っ先に思い出すのは、『ゴッドタン』の”腐り芸人セラピー”での一場面。女性芸人に求められる芸風の一辺倒さ(容姿も含めて)を嘆くAマッソ加納さんに、「あなたが打ち破ればいい」と至極真っ当な意見を言う徳井さんの姿です。「それやるのが大変なんじゃないかなぁ」と私なんかは思ってしまったんですが、その後ネタの面白さでめきめき頭角を現していくAマッソのお二人、とにかく実力で押さえつけることを続けるしかない、と腹をくくった瞬間を見たのかもしれない。…いや、その前から面白かったとは思うんだけど。声の出し方がな~、気になるんだよな~、Aマッソは。…いや、そんな話ではなく。
 奥付見たら、出版一か月半で3刷ですよ、売れてますね~。
 各芸人さんの、優れている所、他にはない個性や努力、覚悟を徳井さんの目線で解説していく。取り上げられている芸人さん嬉しいだろうなぁ。そうそうと激しく同意することあり、へぇそうだったのか、と感心することあり、そんな見方があったのか、と目からウロコ!な思いをすることあり。
 あの番組見てたよ、凄かったよね、とうんうん頷きながら読んだ章も。『笑っていいとも!』最終回は本当に震えがくるような凄まじさだったよね、TV画面見ながら録画してない自分の迂闊さを呪ったよ、と当時の興奮を思い出しましたし、『しくじり先生』でオードリー若林さんが「俺が行く」と立ち上がった場面も覚えてました。
 EXIT兼近さんの冷静な視点、霜降り明星の自由さ、ハライチ岩井さんのブレなさ。若手に対しても敬意を持って評価する。徳井さん、いい人なんだろうなぁ。
 それにしても新潮社、芸人さんに本を書かせることを見つけたようですね(笑)。