読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

下町ロケット2 ガウディ計画 池井戸潤著 小学館 2015年

 『下町ロケット』シリーズ第2弾。
 ネタばれあります、すみません;

その部品があるから救われる命がある。
ロケットから人体へ――。佃製作所の新たな挑戦!

 ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年――。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。
 量産を約束したはずの日本クライン製造の人工心臓「コアハート」の取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業 サヤマ製作所とのコンペの話が持ち上がる。
 そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその人工弁が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。だが、佃は開発者の一村医師の熱意と、素材を提供する編み物会社 桜田の思いに触れ、挑戦を決意する。
 佃は開発担当として中里を指名するが、コアハートの件で会社に不信感を抱いていた中里はそれを拒否、山崎部長が描いた新しいバルブ設計図を手土産に、サヤマ製作所に転職してしまう。一方 一村も、師に当たるコアハート開発者 貴船医師から圧力を受けていた。医療機器審査もなかなか進まず開発費が嵩み、桜田は会社の上層部からこれ以上の支援はできないと最後通牒を言い渡される。佃はガウディ開発に、ロケットのバルブで縁ができた帝国重工を巻き込もうと画策、だが帝国重工内でのサヤマを支持する一派が諾としない。
 コアハートはサヤマ製のバルブを組み込んで臨床試験まで進んだが、作動不良を起こし、徐々に不具合が露呈し始める。事故を隠蔽しようとして週刊誌にすっぱ抜かれ、バルブのデータの意図的な改竄まで明らかとなり、風向きは一気に変わった。サヤマ製品の信用が落ちて、佃製作所が改めて見直される。日本クラインからの改めての開発依頼を、佃製作所は突っぱねた。…
             (出版社紹介文に付け足しました)

 例によって中表紙の後に人物相関図、有難い(笑)。何しろおっさんばかり出てくるので、「これどこの誰だったっけ」ってごっちゃになってですね(←自分の記憶力の衰えは大きな棚に上げる・苦笑;)。
 医療機器でこんないい加減なことするなよ、人の命なんだと思ってるんだよ、とサヤマ製作所や日本クラインの態度に呆れてしまいました。医療機器審査もコネで日和ってどうする、もっと意識を高く持てよ。…いや、お話なんですけど。
 今回、貴船教授よかったですね。憑き物が落ちたように、本来の自分の初志を思い出して医療の道に戻る。悪役がちゃんと改心する、って展開は珍しい気がしました。真っ当な人が報われるのは勿論、やり直そうと決心した人にもチャンスがある、ってのも大切ですものね。
 シリーズが続く限り、佃製作所に安寧は訪れないのかぁ。なかなか矛盾ですね(苦笑;)。