読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

王都の落後者 ソナンと空人1 沢村凛著 新潮文庫 2020年

 ネタばれあります、すみません;

 王都において、ソナンはシュヌア将軍の一人息子として生まれた。長い廊下のある広大な屋敷で育ち、14歳で近衛隊に入った。婚約者が決められていたにも関わらずソナンは悪い遊びを覚え、家の金を持ち出すようになる。剣の腕はあったが素行の悪さは直らず、降格や父親からの再三の忠告の末 勘当されたその日、友人ナーツの妹タハルが借金のカタに連れ去られてしまった。金を借りようと泣きついても、今までのことがあるので誰も助けてはくれない。仲間みんなでかき集めたなけなしの金を運ぶ途中、それまでの行いの悪さが災いして、ソナンは川に落ちて死ぬことになる。
 目覚めた先には朱色の長い髪を持つ、神かもしれない存在がいた。彼――空鬼(そらんき)はソナンに興味を持ち、どこでも好きな所に転生させてやる、と持ち掛ける。ソナンは元の世界を望んだがそれは叶わず、空鬼の見せてくれた別の世界を選択した。水も食糧も尽きた籠城中の陣営、だがそこの王と思われる人物の品性溢れる佇まいに強く惹かれたのだ。同じく、顔立ちの似た一人の女性にも。
 空鬼の厚意で必要最小限の言語と不可思議な武器を手に、ソナンは砦内に降ろされた。砦内の皆に疑われ、怪しまれながらも、ソナンは武器を使い、崩れた地下避難路を穿ち、反逆者 香杏軍に打撃を与える。それでも消えない不審の目の中、彼に理解を示したのは、主と仰ぐと決めた六樽(むたる)と、心を寄せて世話をしてくれた雪大(ゆきんた)だった。慣れない風習に戸惑いながら軍功を上げるソナンは、六樽から空人(そらんと)の名を授かる。儀礼で褒美を訊かれ、空人は姫を賜るよう願ってしまった。一目見て惹かれて、彼女のことしか考えられなくなってしまった女性を。雪大と恋仲だというのに。
 成りあがった空人を、やはり己の才覚一つで低い身分からのし上がった星人は敵視していた。何らかの野望があるに違いない、と怪しんでいた。…

 沢村凛さん、久々のファンタジー
 まだ一巻目ですが、面白かったです。贔屓目かもしれませんが、とにかく期待値大! すらすらと、読み始めると止まりませんでした。
 後半読んでいくとソナンこと空人に肩入れしがちになって行くんですが、絆されちゃいけない。前世(?)ではとにかく不真面目で暴力も辞さない男だったんだから。このまま品行方正で済む筈がない、と思っています。
 さて、続きはいつ回ってくるのかな。あと3冊、楽しみです。