読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鬼絹の姫 ソナンと空人2 沢村凛著 新潮文庫 2020年

 『ソナンと空人』、第2巻。

 空人は妻を連れて輪笏の地に赴任した。輪笏は貧しい土地で、空人着任の宴を開く費用もままならないほど。空人は弓貴の、ひいては輪笏の土地の状況、領民の様子を学び、領地を豊かにするアイデア思い付いては次々に実行していく。戦が終わって不要となった馬を売り、医療体制や学校を整え、保存の効かない果物を菓子の材料にできないか、と都から職人を呼び寄せようと模索する。閉ざされた村の中でしか生産されていなかった特産品 鬼絹生産の秘訣について、土地の者の頑なな警戒心を、妻ともどもほぐしていくことにも成功する。農地拡大のため隣の領土の池から水を引けるよう話をつけ、水路を拓くため〈空鬼の筒〉の最後の貴重な一回を使用までした。必要な資金を得るため輪笏の宝物を、家臣の制止を振り切って売り、それは空人のかつての記憶を幽かによみがえらせた。
 空人のあまりにも一生懸命な様子は、慣例やしきたりに凝り固まった家臣たちの心を打ち、みんなを創意工夫を凝らしての行動に駆り立てたが、不安も募らせる結果となった。まるで生き急いでいるようだ、と。
 都では、造船技術の向上によって外海を越えて来た国との貿易が検討されていた。独特な視点を持つ空人も招聘され、意見を言うことに。相手国の名を聞いた空人は驚愕する。自分の故国の名だったから。…

 あれ、これって沢村さん流異世界転生ものだったのかしら、今までの知識というか常識を生かして他世界をよりよく改革していくという(苦労はあまりなし)と思いながら読んでたら。
 えらいどんでん返し来ましたね。同じ世界だった、という。そう、これじゃなきゃ。一筋縄では行きませんよ、ねぇ(笑)。
 奥さんが妊娠して、治世も上手く回り始めて、でも不穏な空気は満々と漂ってます。次巻へ続きます。