読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

辺境のオオカミ ローズマリ・サトクリフ著/猪熊葉子訳 岩波少年書店 2008年

 英国での出版は1980年。
 ローマン・ブリテン四部作の最終編。

 部下の進言を無視し、不適切な撤退をしたことで、多くの部下と砦をも失ったアレクシオス・フラビウス・アクイラ百人隊長は、北ブリテンの辺境守備隊に左遷される。正規軍と程遠い辺境守備隊の面々は、オオカミと称されるブリテン人の氏族たちで構成されていた。ブリテン人の祖母を持ち、土着の民の乳母に育てられたアレクシオスは、氏族たちの文化になじみ、徐々にその信頼を得ていく。ヴォダディニ族の族長の息子クーノリクスとは、親友ともいえる間柄にまで親しくなる。
 だが一年後、大隊司令長官が変わったことで状況が一変した。赴任してきたモンタヌス司令官は氏族を蛮族としてしか捕えず、またクーノリクスの弟コンラはその態度に、モンタヌスの駿馬を盗む、という形で応じた。穏便に済まそうとするアレクシオスの算段も空しく、コンラは処刑。ヴォデダニ族はアレクシオスたちのいる砦を襲う。
 戦死したモンタヌスに代わって指揮をとることになったアレクシオス。今度こそ、正しい判断と信じて撤退を選ぶ。追撃してくるのは新族長クーノリクス、かつて共にオオカミを狩った親友だった。
 囮部隊を編成して、本体は前族長葬儀の墓石への道を辿る。氏族の襲撃を受けながら本体との合流を目指し、砦に向かう。川の橋を落とし、追手を防ぎながらも腹心の部下を失う。半壊した砦で追い付かれたアレクシオスは、雪の降る中、クーノリクスとの一騎打ちを申し出る。…


 何十年も経ってからもう終わったとされていた作品の続編を出す、というのが流行った一時期があったのかしら。この間読んだ『小人の冒険』シリーズもそうでしたし、『ゲド戦記』も、あとアシモフやクラークもそういうことしてたよなぁ。
 今回のこの話は、総まとめではなく新しいエピソードでした。どこを舞台にするか、というということでローマ・ブリテンを選んだだけ、それこそ作者があとがきに書いていたように、西部劇の話にしても作りようはあったかも。前作に比べて小振りになった印象は否めない。
 やっぱり翻訳ものは読み難く、どうも状況が掴みづらい箇所は多々あったのですが、そこは読み飛ばしました(←おいおい:)。
 最終的に、主人公は新しい友というか部下を得てこの地に残ります。ちょっとよこしまな印象を抱いてしまったのは内緒です(苦笑;)。