読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

むかしむかしあるところに、死体がありました。 青柳碧人著 双葉社 2019年

 【2020年 本屋大賞ノミネート作】昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!  (出版社HPより)

 一寸法師の不在証明
 村はずれの小屋で冬吉が絞殺された時、一寸法師は鬼の腹の中にいた。冬吉は右大臣のご落胤、春姫と結婚しようと目論んでいた一寸法師には邪魔者でしかない。時間のアリバイは崩せても、小屋の引き戸は一寸法師しか通れないくらいにしか開いておらず、その頃は一寸法師は打ち出の小槌で人並みの大きさになっている。自分には使えない打ち出の小槌を、一寸法師はどう使ったのか。

 花咲か死者伝言
 白い犬のおいらを、お爺さんは「しろが帰って来た」と喜んで迎えてくれた。何でもしろはちょっと前までお爺さんが飼っていた犬で、宝物を見つけたり、死んでからも墓に植えた松でできた臼から黄金が出てきたり、お爺さんを喜ばせていたらしい。臼を燃やした灰で枯れ木に花を咲かせた翌日、お爺さんは撲殺死体で見つかった。お爺さんは何故、誰に殺されたんだろう。

 つるの倒叙がえし
 弥兵衛の家に恩返しに訪れた鶴のつう。だが弥兵衛はつうの織った反物を売って金に換え、自堕落な生活を送るようになってしまった。つうに暴力を振るい、権力欲まで持ち始めた弥兵衛を、隣に住む勘太が止める。

 密室竜宮城
 亀を助けて招待された竜宮城で、伊勢海老が殺された。部屋は密室状態、窓はあったが外は珊瑚でおおわれて出入りはできない。浦島太郎は床の模様に擬態できる平目が犯人だと推理するが、地上に戻って玉手箱を開けた時、別の真相に気付く。

 絶海の鬼ヶ島
 その昔、桃太郎によって退治された鬼たちは、数人が生き残ってほそぼそと生きながらえていた。ところがある日、仲間の鬼が一人ずつ殺されていく。孤島で疑心暗鬼になる鬼たち。誰が犯人なのか、それともまた桃太郎が来襲したのだろうか。…

 あちこちで話題になっていた一冊、漸く順番が回ってきました。
 パロディ、ってのに出会ったのはいつだったのか、多分星新一ショートショート赤毛連盟』のパロディが最初だったと思うんだけど。
 基本的にパロディは好きです。延長線上のいわゆる二次創作にまで行くと、解釈違いとかで眉を顰めることもあるんですが、昔話とかなら全然オッケー。今回もまぁ、よくここまで広げられたとも!(笑)
 不思議な道具とかがあること前提でのミステリ、なるほどと思うものもありええ!?と思うものもあり。読み進むにつれて、「このパターンだったか!」とわくわくした作品も。ただ、ダイイングメッセージがダイイングメッセージになってない、とかの展開はどうかとは思いましたよ、全く(笑)。
 いや、すらすら読めて面白かったです。まだまだできそうですよね、鉢かづきで入れ替えトリックとか、瘤取り爺さんで交換殺人とか、舌切り雀で猟奇事件とか。また出してくれないかな。