読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

真夜中のたずねびと 恒川光太郎著 新潮社 2020年

連作短編集、になるのかな。

 ずっと昔、あなたと二人で
 阪神大震災で家族を失った少女アキは、ひきとられた縁者に虐待されて家を飛び出した。あちこちの空き家に潜り込み過ごす日々、やがてアキは占い師の老婆と出会い、老婆と共に暮らし始める。うまくやって行っている筈だった、老婆がアキに、自分の娘の遺骨の回収を依頼するまで。アキが見つけた老婆の娘は、洞窟でミイラ化していた。

 母の肖像
 父は殺人者で、母はその殺人者に、薬物に依存した女だった。母が逮捕された後、「ぼく」河合一馬は施設で育った。高校卒業後、職場に一人の女性が訪ねて来る。彼女の名はは咲島秋、人探しを請け負っているという。一馬の母は、長野の山荘で、父とのその後の経緯を語る。

 やがて夕暮れが夜に
 あかりの弟が、人を殺した。大学進学を目指していた彼女の人生は狂った。マスコミや一般人にも攻められ、家族はバラバラになり、やがて父親は何者かに殺されてしまう。あかり自身もストーカー被害にあうが、警察は動かない。あかりは父の遺産にあった群馬の山林の廃屋に住むようになる。やがてそこに、刑期を終えた弟が現れた。

 さまよえる絵描きが、森へ
 ワンボックスカーで一人旅をしている一馬は、一人の旅行者に出会った。当たり障りのない会話をして別れた後、彼は自分の境遇を記した長文のメッセージを送って来る。裕福な家庭に育った彼は、ボランティアの帰り、ひき逃げをしてしまったこと。罪の意識から、被害者の家族にこっそりつきまとうようになったこと。全てを読んだ一馬は、被害者の妻を探して会ってみることにする。 

 真夜中の秘密
 藤島泰斗は、群馬の田舎の農家を譲り受けた。レンタル民家として活用し 管理していた所、夜中死体を捨てに来た女性と出くわしてしまう。…


 粗筋改めて書いていて気が付きました。…人探し請負人の咲島秋って、第一話に出てきたアキだったのか?? 占いのお婆さんの家では居場所がなくなってしまったみたいだったけど、その後立派に成長したんだね、よかったよかった。
 ホラー、になるのかな。幻想小説風な箇所も。必ず殺人の要素も入ってますね。罪を犯してしまった人やその家族への、一般人からの加害の描写はまさしくホラー、実際にありそうなこともあってやりきれない。それを怖れて自主をためらう人物もいて、そうなると本当、本末転倒だよなぁと思ったり。歪んでいるとはいえ、贖罪を願ったりもしてるもんなぁ。
 各話の繋がりが見つかる度、「…あ!」と思いました。でもそしたら、あかりの居場所やら見つけたのも咲島秋だったのかな。それは迷惑だなぁ;;