読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ふたりの距離の概算 It walks by past 米澤穂信著 角川書店 2010年

 〈古典部〉シリーズ第5弾。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 神山高校の新勧祭で、古典部の目の前の製菓研究会が分不相応な大型テーブルを使っている件について、あれこれ考察を述べていた折木奉太郎千反田える。その様子を面白がって聞いていた一年生が、古典部に仮入部してくれた。名前は大日向友子。
 里志や摩耶花、えると共に奉太郎の誕生日にいきなり家に押しかけてきたり、新規オープンする従兄の喫茶店に誘い お試しメニューに舌鼓を打ったり、彼女は順調に古典部に馴染んでいたように見えた。なのにいきなり、入部はしないと言い出す。直前まで大日向と会話していた千反田えるは、自分のせいだと多くを語らない。
 本当にそうなのか。5月のマラソン大会、20キロを走りながら、奉太郎はこの一か月を振り返る。漢字に詳しいこと、言葉選びが独特に厳密だったこと、ライブを聴きに福岡まで行ったとお菓子を差し入れしてくれたこと。各部員に追い抜かれながら、奉太郎は記憶を是正し、最後には大日向と差向う。きっと大日向は千反田えるを誤解している、と。…

 奉太郎たちもいよいよ2年生。マラソン大会5月にするんですね、寒い地方が舞台だからかな。可愛い1年生が入るかと思いきや、残念な結果に終わりました。
 里志と摩耶花がつきあい始めた、という記述にびっくり。そうですか、おめでとうございます! 里志くん、観念したんだね(笑)。
 長編とは言いながら小さな謎を積み重ねていくスタイル。過去を回想する展開は、どこかで読んだ気がするんだけど、何かのオマージュっぽい。
 肝心のえると大日向さんの会話を、奉太郎が本を読んでいて聞いてなかった、ってくだりには少々苦笑してしまいました。…うん、私も時々やった。終礼の時、ついうっかり何かの文章読みふけってて、先生の言葉聞いてなかった、とかさ。
 学校独特の、関係者以外を寄せ付けない雰囲気、ってのは確かにあるなぁ。例え卒業生でも。大日向さんと友達の関係も、関係者以外が入る時は、決定的な何かが起きる時なんだろうなぁ。
 そうそう、ちょっと前から気になってたんですが、折木家って、お母さんの姿ないのはどうしたんでしょう。奉太郎の省エネ主義と関係してくるのかしら。

 さて、シリーズはあと一冊で追いつきますね。追いついてしまっていいものやら、次巻に続きます。