読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

犬と私の10の約束 川口晴著 文藝春秋 2007年

 作者不詳の短篇詩「犬の十戒」をヒントに生まれた物語。
 …このお話をお好きな方は、この記事を読まれない方がいいかと思います;;


 ある日、12歳になったばかりのあかりが学校から帰ってみると、庭の植え込みからヨチヨチ歩きの子犬が出てきました。犬を飼いたがっていたあかりは捕まえようとしますが、電話の音にビックリした子犬はどこかへ姿を隠してしまいます。しかもその電話は、母が倒れ、入院したという父からの知らせでした……。
 慣れない家のことや寂しさに向き合うあかり。へこたれそうになる心を支えてくれたのは、四月に知り合ったギターの上手な男の子、星進くんでした。母のお見舞いに病院へ向かう途中で、ギターを聴いたり、寄り道をしたり、つかの間の心和む時間を過ごします。
 母が入院して数週間、函館の総合病院に勤める医師である父はいつも忙しく、日曜日も仕事。そんな朝、例の子犬がまた庭に現れました。右の前足だけが白く、靴下をはいているように見えるゴールデンレトリバーは、こうして家族の一員に。
 さっそく病院に見せに行くと、
「犬を飼う時は10の約束をしないといけないの」
 と、母は言います。
「私にはあなたしかいません。仲良くして。遊んで。信じて。心があることを忘れないで。
 私が死ぬときはそばにいて。私がずっとあなたを愛していたことを覚えていて……」
 あかりは子犬と10の約束を交わしました。
 その子犬は白い足にちなんでソックスと名づけられ、かけがえのない存在になってゆきます。母が急死した時にも、片時も離れずあかりの悲しみを癒してくれたのはソックスでした。
 しかし、恋をし、将来の目標に夢中になるにつれ、あかりはソックスの存在を邪魔に思い、イラ立ちを覚えるように……。
 ソックスとの10の約束を、あかりは最後まで守れるのでしょうか?
                                           (出版社紹介文より)


 書架に並んでいたので、手に取ってみた一冊。泣けるかなぁ、と思いまして。
 最初の頁に載っていたが、「犬の十戒」。で、これを見た途端、これは泣かない気がするなぁ、という予感。で、読み終わりまして。
 …ほらね、やっぱり泣かなかった。
 だって、作りがもう泣かせる気満々なんだもの。こんなにこれみよがしだと、ちょっと引いてしまう自分がいまして。
 随分前に読んだ太刀掛秀子さんの漫画『ちゃむとたいせつなともだち』を思い出しました。何かの拍子にふと読んだだけなんですが、未だに忘れません。うん、あちらの方が断然私の中では名作だった。