読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

傲慢と善良 辻村深月著 朝日新聞出版 2019年

 ネタばれあります、すみません;

 

 婚約者・坂庭真実が姿を消した。失踪前、彼女はストーカー被害にあっていたという。
 彼女を探して、西澤架は彼女の郷里群馬へ向かう。あまりに近しいと感じる母娘の距離、地方ならではの狭い価値観。その頃に真実と婚活で出会ったという男性二人に会い、架は違和感を抱く。どちらも、ストーカーになるような人物とは思えない。

 真実の過去を追ううちに見えてきた彼女の傲慢さは、架自身にも身の覚えのあるものだった。自己評価の低さに相反するプライド、相手を値踏みする辛さ。架の女友達が、架の元カノの話を真実にしていたと知って、架は驚愕する。…

 

 これ、後半の真実のパートに触れずに書くの難しいなぁ;; 触れたらネタばれですものね。

 う~ん、胸に痛かった(苦笑;)。真実の傲慢さは、理解できるものだったので。高すぎるプライドを持て余し、でも親から刷り込まれた価値観、善良さからも逃れられない。その辛さを、架が共感してくれてよかった。鈍感、と表現されてしまいましたが(笑)。

 傲慢というなら架の女友達も傲慢だよなぁ。余計なお世話をしてやるなよ、品のない。というか、傲慢さは誰もが持ってるものなんだろうなぁ。

 少し前にあった、何人もの男性が一人の女性に騙され、殺されて保険金だの何だの盗られてしまった事件。あれも男性側に「この程度の女になら惚れられて当たり前」的な意識が根底にある、という見解を聞いたことを思い出しました。年齢を重ねて、否応なく女としての価値を下げられてしまう女性より、男性の方がいつまでも相手への要求が高いんじゃないだろうか。

 後半では谷川ヨシノさんや早苗さん、力くんもちらっと登場。こういうコラボは嬉しいかったです。