アマチュア・オーケストラ「東京アークエンジェル・オーケストラ」のお披露目公演は、ヴァイオリンソリストの大里峰秋を迎え、ヨーロッパの小国ラ・ルーシェ公国所有のヴァイオリン≪ミモザ≫を目玉に据えた演奏会。≪ミモザ≫はかつて盗難騒ぎまで起きたいわくつきの幻の名器で、その真贋も含め話題には事欠かない。その来日歓迎レセプションで、≪ミモザ≫が忽然と消えてしまった。
当日 演奏した面々にはあらかじめ「似た色合いのヴァイオリンは持って来ない」とお達しがあったほどの慎重さ、楽器ケースの暗証番号は勿論、持ち主のラ・ルーシェ大公しか知らない。盗まれたとされるヴァイオリンの写真を見て、アークエンジェル・オーケストラの最後尾に何とか潜りこんだアマチュアヴァイオリニスト 音羽光子は眉を顰める。あまりにも自分のヴァイオリンと酷似していたので。
折も折、アークエンジェルのオブザーヴァー的な存在であるヴァイオリン製作者 安住から、光子のヴァイオリンを預かりたいとの申し出があった。胡散臭さを感じて断る光子。一方、ラ・ルーシェ公国のアルベール大公はどうやら光子を気に入ったらしく、お忍びでの観光に光子を振り回す。光子は自身のヴァイオリンを持ったまま、森田ヒルズでの音楽イベントに付き合う羽目に。
アルベールを捜す美人秘書、思わせぶりな言葉を光子にかける音楽コーディネーター ジュリアン神崎、何かを隠している様子の安住。行く先々で出会う混乱は、どうもアルベール大公を追っているだけではなさそうだ。新しい団員の高校生 小林拓人も巻き込んで、光子の夜は続く。≪ミモザ≫はどこへ消えたのか、コンサートは開催できるのか。…
どうしたんだ、高野さんにしては読みやすいぞ!(爆!)
エンタテインメントに振り切った感じ。正直、光子の造形や設定はどうなんだろうとか、小林少年の才能は結局さあとか、説明するためだけに出てきた登場人物いるよねとか、思うところはあったのですが、面白かったです。パロディ的なネーミングや場面も、思わず苦笑して受け入れてしまう。
これ、シリーズ化されるのかな。小林少年の活かされきれてない設定は、次に続くためかな、とも思ったり。
表紙イラストが小玉ユキさん。…ええ、そりゃそうでしょうとも!(笑)