読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

盲目的な恋と友情 辻村深月著 新潮社 2014年

 ネタばれあります、すみません;

 これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。

 一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の醜い女友達。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。
 恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。                   (出版社HPより)
         
 私立大学のオーケストラ部で、一瀬蘭花と茂実星近は出会った。外部から招いた新進気鋭の指揮者・茂実はオケ部の女子の憧れの的。絵に描いたような美少女の蘭花とはまさしくお似合いのカップルで、二人は自然に恋人同士の関係になっていく。だが、茂実は恩師の妻・室井菜々子の支配下にあった。そのことを知りながらも、蘭花は茂実と離れられない。茂実と菜々子の関係がばれて茂実の将来が閉ざされても、まだ蘭花は茂実との恋に溺れていた。
 傘沼留利絵は同じオケ部で、第一ヴァイオリンを担当していた。幼い頃から美しい姉と引き比べられ、自分の容貌にコンプレックスを持つ彼女は、美しくて教養もある蘭花に惹かれていく。彼女の「親友」というポジションに拘る留利絵。父親の失業後、蘭花ルームシェアをして暮らした留利絵は、蘭化と茂実の様子を間近に見てきた。聡明な蘭花が茂実に捕らわれることが理解できず、自分との友情より優先されることに哀しみを感じる留利絵。やがて、茂実が陸橋から転落して死亡した、という知らせが二人の部屋に舞い込んで来る。
 嘆き苦しむ蘭花を、留利絵は誠心誠意慰める。蘭花の次の恋も、留利絵は応援した。そして、蘭花の結婚式当日。友人代表でスピーチを読む留利絵の姿が、そこにあった。…
 

 自分の容姿に自信が持てず、男性不審のようなものに陥る留利絵には、実はそっと共感する部分もありました。男性からしたら女性もそうじゃん、となるんでしょうが、男性も美人じゃない女の子にはかなり残酷だもんなぁ。そこで自分の理想のような女友達が現れて、しかも共通の趣味を持っていてマニアックな話もばんばんできる、となったら、蘭花固執する留利絵の気持ちもわからないではないんだけど。恋人ができた友人に対して、寂しい気持ちも十分分かるし。
 美波の「こんな時にも自分のコンプレックスを優先させるの?」という発言には、え、それ相手をいらつかせる台詞なの??とか思いましたよ。セクハラした相手はその子がお目当てだったんだから、「その子以外の人が行けば大丈夫だった」って意味合いで十分理解できるじゃん。それとも普段からそういう類の発言してて美波をうんざりさせてたのかなぁ。
 ただなぁ、中高時代の友人は??とか思っちゃうんだよなぁ。苦しかった小学校時代を抜けて、色々救ってくれた昔の友人は??
 一応どんでん返しは用意されてたんですが、本当、警察も何もこんな時に来なくてもねぇ(苦笑;)。あまり後味はよくなかった作品でした。