読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ナポレオン 3 転落篇 佐藤賢一著 集英社 2019年

またたく間にヨーロッパの頂点へ上り詰めた男の栄光と凋落。
稀代の英雄の一代記、ここに完結!

諸国との戦争に破竹の勢いで勝利し続け、ヨーロッパをほぼ手中に収めたナポレオン。オーストリア皇女と再婚して跡継ぎにも恵まれ、絶頂期を迎えるが、酷寒の地・ロシアへの遠征に失敗し、対フランス同盟軍に追い詰められてゆく。
1814年、ついに退位を余儀なくされ、地中海に浮かぶエルバ島への追放が決まるが――。
「まだ私は終わりではない」。再起を懸け、男は最後の戦いに挑む!

 

 3巻中、一番早く読めたんじゃないかな。特に前半、快進撃を続けるあたりは戦術も詳しく描かれて、戦記物の面白さでした。負けが込み始めるあたりも詳細なんですけど;; 

 そうか、当時は手紙で指令を伝達してたのか、それもちゃんと届くよう10通から出してたのか。速さが身上だったり猛進さが長所だったり、個性的な将軍の面々にどうしても銀英伝を連想してしまう。いや、こっちが先なんですけどね。

 祖国を蹂躙されていたポーランドがナポレオンを救世主として崇め、協力するくだりも成程、と思いました。愛する妻と子を得て、守りに入ったあたりから立ち込める暗雲。「ナポレオンと闘わなければいい」という発想は、確かに斬新でした。見限る輩がいる一方、変わらず敬愛する部下もいる。…でも、うんざりする気持ちもわかるなぁ(苦笑;)。

 ナポレオン2世以外の子供たちはどうなったのかなぁ。流刑地までも来てくれた人もいたのに。

 「会議は踊る」のウィーン会議がここだったのか、と思ったり、ロシア遠征は『戦争と平和』のあの場面だよね、だったり、他の作品とつながる箇所も楽しかったです。