読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

テンプル騎士団 佐藤賢一著 集英社新書 2018年

 『スター・ウォーズ』、フリーメイソンとの関連は!?
 最強・最富・最大組織の全貌を明かす!

 12世紀初頭に誕生した「テンプル騎士団」は、もともとエルサレム巡礼に向かう人々の保護のために設立された。しかしその後、彼らは、軍事力、政治力、経済力すべてを持ち合わせた超国家組織に変貌を遂げる――。
 後世に影響を与えた数々の画期的な制度(管区、支部といった巨大ネットワークを張り巡らせる組織作り、指揮命令系統の明確な自前の常備軍、銀行業の始まりともいわれる財務管理システムなど)を形成した。
 西洋歴史小説の第一人者が、その成立過程から悲劇的結末までの200年にわたる興亡を鮮やかに描き出す!

■主な内容
・パリのいたるところに現存する「タンプル」という地名の謎
・『スター・ウォーズ』のジェダイの騎士との関係性
・たった9人で始まった騎士団
・宗教的熱狂と十字軍
・巡礼者の保護が当初の目的だった
イスラム最大の英雄・サラディンとの戦い
・貧しき騎士たちはどのように武名を轟かせるようになったか
・戦いにおける、騎士団の異常に高い死亡率
・白地に胸の赤十字という装備
・高い士気と結束。強固な組織はいかにして保たれたか
・ヨーロッパ初の常備軍
・修道士にして騎士
テンプル騎士団では転勤、転属、栄転も珍しくなかった
・城塞、農場、銀行窓口……多機能を持つ支部をヨーロッパ中に張り巡らせた
・国という枠を超えた超国家的組織
・アンチ異端審問、アンチ専制
・都市の利権をすべて手にできた理由
・とにかく、金、金、金
・中世ヨーロッパの銀行業の始まりだった
・フランス王家の財務すべてを握ったテンプル騎士団
テンプル騎士団は、国際金融資本がアメリカ軍を持っていたようなもの
・フィリップ4世がテンプル騎士団を葬った13日の金曜日                 (出版社HPより)

 
 佐藤さんの語る西欧史。今回は名前だけ聞いたことがあった「テンプル騎士団」について。
 ああこれは、『狼と香辛料』にも重なる世界だ。
 最初は義憤からの護衛が、優秀な軍隊を育てていくことになる。道路を整えたりしたことから運送業が発達し、物の流通、売買から銀行、王侯貴族等々の財産管理人にまでなる。
 永遠に発展していくかと思われたが、十字軍遠征がなくなれば貴族・領民から恨まれて、やがてフランス王フィリップ四世により徹底的な解体の憂き目に。
 何しろ人名やら土地名やら読んだ端から忘れましたが(←おい;)、組織が大きくなっていく流れ自体はとても自然で、納得が行くものでした。
 チュートン騎士団がなまってドイツの国名になった、とか「へぇ」ボタン連打でしたよ。
 王家の管財人まで勤めてた、って有能な能吏だよなぁ、そのあたり主人公にしてまた佐藤さん歴史小説書いてくれないかしら。