読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

魔法使いと副店長 越谷オサム著 徳間書店 2016年

 藤沢太郎(41歳)。憧れのマイホームを買ったばかりなのに、いきなりの転勤命令! 妻と幼い息子を残し、湘南にあるスーパーで、本社復帰を目指して副店長としての業務に勤しむ日々を過ごしている。ある日、自宅アパートの窓から、箒に乗った女の子が突入! アリスと名乗る見習い魔法少女と彼女を見守る役目だという小動物“まるるん”に居候を決めこまれてしまった。
 アリスのあまりにも世間知らずな様子に藤沢は振り回される。何しろ2歳から魔法学校に通っていたらしいのに、自在に箒に乗ることも姿を消すこともできないらしい。この世でのホームステイ期間、次の満月までにその技を習得しないと、もう魔法使いにはなれないのだとか。
 妙に人懐っこいアリスは、アパートから出ないように、との太郎の注意はどこ吹く風、何時の間にやら階下の水嶋老婦人と仲良くなるわ、勝手に藤沢の勤めるスーパーに押し掛けてきて、従業員やパートのおばちゃん、ゲームコーナーで一人ぽつんと佇む男の子とまで友達になるわ、挙句の果ては藤沢と反りの合わない店長まで懐柔している始末。迷惑だと決め込んでいた藤沢もそのペースにのまれ、アリスの存在を知ってあらぬ誤解をした妻や幼い息子さえアリスを愛おしく、本当の家族のように思うようになる。
 最終日、それでもまだ姿を消すことができないアリス。花火大会を早めに切り上げて魔法の練習をする筈だったのに、藤沢共々放火魔の爆弾騒ぎに巻き込まれてしまった。果たしてアリスは無事魔法使いになれるのか。…
                                     (作品紹介に付け足しました)

 越谷さん、きっとアニメ『魔法少女まどかマギカ』見たな、と思った一冊。いかにも能天気な日常から、いきなりずどん、と重くなる展開とか、アリスの魔法少女の衣装とかも。
 『陽だまりの彼女』と似たような話を、ってリクエストがあったのかしら、と思うほど雰囲気似てました。私は個人的にアリスはあまり好きなタイプではないので(ハンバーグ、綺麗に作れた方を副店長にあげるべきだろう、とか思ってしまう。そのあたりが常識のなさ、といわれればそれまでなんですが、それは常識ではなく「思い遣り」や「感謝」の類ではないのかなぁ)、アリスに感情移入できないのは勿論、それを受け入れていく主人公の気持ちもあまり分からなかったのですが。…そういえば、越谷さんの作品のヒロインって、私あまり好きじゃないかも。
 ラストはよかったですねぇ、私すっかり伏線忘れてたので。