読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

カラスだんなのおよめとり――アラスカエスキモーのたのしいお話―― チャールズ・ギラム文/石井桃子訳  岩波書店 1963年

 民話集。

手ばたき山
 親兄弟を亡くしたカナダ・ガンのひなを拾った老夫婦は、「おしゃべりや」と名付けて育てました。大きくなった「おしゃべりや」は、やはり迷子になっためすのカナダ・ガン「よちよち」と共に、ガンの群れに交じって南の国へ向かいます。途中、その群れの年よりのガンから、手ばたきするようにぶつかる山の話を聞くのです。上手くその山の間をすり抜けないと、多くの渡り鳥たちが挟まって死んでしまうのだとか。無事にその山をくぐり抜けた2羽は、北の国に戻ってきて、老夫婦にその話をするのです。

カラスだんなのおよめとり
 ながいしっぽがご自慢のカラスだんな。でもなかなかおよめさんに来てもらえません。やっとのことで帝王ガンの娘を貰えることになったカラスだんなは、南に渡る旅に同行します。でも慣れない旅にへとへとになり、途中手ばたき山にしっぽを挟まれてしまうのでした。

キラキラ光る火の鳥
 火の番をしていた小さな女の子から、わるものたちは火種を奪い取ってしまいます。父親のエスキモーは、音なく飛べる小さいフクロに、火を取り戻してくれるよう頼みます。

ネズミどんとノミどん
 仲が良くていつもいっしょにいたネズミどんとノミどん。所がいっしょに居すぎて、けんかをするようになってしまいました。いじわるをしてはやり返す日々。やがて、いたずらはエスカレートしていきます。

ツルさんの目は なぜ青い
 ツルおくさんに子供をまかせて、川べりを歩いていたツルだんな。暇にまかせて、自分の目玉を取り出してみよう、と思いつきます。何回か繰り返したのち、人間に目玉を取られてしまい、さあ大変。ツルだんなは目の代わりとして、黒いちごや赤いツルコケモモ、木イチゴやコケモモの実を試します。

キツネの毛がわは なぜ赤い
 昔、キツネは真っ白でした。ネズミのおくさんを食べ損ね、しゃくにさわるまでは。

ツメナガおくさんのさいなん
 自由奔放なだんなさんに振り回されたツメナガホオジロのおくさん。でも我儘がたたって、だんなさんは人間の男の子に弓矢で撃たれてしまいます。娘を抱え、未亡人になったおくさんに、さまざまな鳥が求婚してきます。

カラスだんなとイガイ
 ムラサキイガイを食べようとしたカラスだんなは、横着してイガイに足を挟まれてしまいます。あまりの痛さに、イガイにいろんな条件を出して足を放して貰おうとしますが、なかなか放して貰えません。

シギとりょうし
 漁の途中、りょうしは黒キョウジョシギを助けて、巣を作る手助けをしました。巣の見張り番までしてやったその帰り、大量のさかなに恵まれます。…

 
 う~ん、いかにも正当な「昔話」。やっぱりこの手の話は好きだなぁ。
 それ以来、○○の××は△△なんだそうな、みたいな由来のものとか、教訓めいた話とか。
 「手ばたき山」が後々まで効いてくるのにはへぇ、と思いました。本当に広く知れ渡ったというか、基本的な話だったんですね。こういうのは、昔話では珍しいような…。
 色々な動物が人間と区別なく身近にいる世界。面白かったです。