読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夢違(ゆめちがい) 恩田陸著 角川書店 2011年

 ネタばれになるのかな、あります、すみません;

 夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする野田浩章の元に、奇妙な依頼が舞い込んだ。関西を中心として、小学校で集団白昼夢が起きている、しかも、当の子供たちはそのことを覚えていない。その後、夜中うなされる子供たちの「夢札」を見て分析して欲しいというもの。
 先輩の鎌田と共に子供たちの夢札を見た浩章は、そこに三本足のカラスと共に、ある人物を見出す。
 古藤結衣子。浩章が今の職業に就いた原因ともなった人物。浩章の兄の元婚約者で、日本で初めて予知夢を見ていると認定された女性。マスコミに騒がれ、叩かれた挙句、サービスエリアの火災事故に巻き込まれて死んだとされているが、その死体は見つかっていない。
 彼女は生きているのか、生きているなら何故浩章に連絡がないのか、それにしても何故子供は彼女の夢を見たのか。浩章たちは同業者と共に、一番鮮明な夢を見た少女に会いに行く。吉野の山に咲き誇る桜、少女はその日、3月14日と言う日に本当に「行って」いたらしい。
 やがて、奈良の小学校で昼休みに全校生徒が教師もろとも消えてしまうという事件が起きた。結衣子の生まれ故郷でもある奈良。浩章は警察庁から派遣された岩清水と共に、「神隠し」の現場に向かう。その小学校の防犯カメラには、古藤結衣子らしい女性が映っていた。
 浩章が関係者から結衣子の幼い頃の話を聞いた直後、奈良公園近辺の交差点で、大規模な追突事故が起きる。しかもその事故は、運転手が消えたこと――「神隠し」にあったことが原因らしい。
 消えた人々は何処へ行ってしまったのか。デトックスのように夢札を引く尼寺があると聞いて、浩章たちはそこを訪れる。
 夢か現実か、浩章の前に度々現れる結衣子。ない筈の和水仙が香り、ドビュッシー亜麻色の髪の乙女」のメロディーが流れる。夢札を引いた人々に共通して現れる幻影は。…


 嫌な予感がしつつ読み進みました。何しろ読み易いのでぐんぐん進む、だけど不安も募る。…この展開は恩田さん特有の、結末のはっきりしないお話ではないかしらん。
 …という訳で、ショックもあまり受けずにすみました(←こらこら;)。三本足のカラスだの鳥の足を植える作業だのは一体なんだったのかしら。でもまぁいいや、だってどうなるんだろうこのお話、って途中本当にわくわくしながら読んだもの。それで十分。(これだからファンってのは…)
 最初、連想したのは清水令子『秘密』のシリーズでした。あれは死人の記憶を読む、って漫画でしたよね。ところが夢の話で、しかも人類に共通した意識界が、とかいう言葉が出てくると、俄然佐々木淳子ダークグリーン』の世界に(笑)。あと、『リング』や『らせん』のシリーズも頭をよぎりました。どれにしても着地点は全然違いましたけどね。あの結末はどうなんだろう、主人公奥さんいるのに、奥さんはどう受け止めたんだろう。
 今さらですが恩田さん、言葉のセンスいいなぁ、とつくづく思いました。「夢札を引く」なんてよく思いつくなぁ。でも夢を人に見られるのは嫌かも。…とかいいながら私、夢はほとんど覚えてないんですが。