読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ポルコさま ちえばなし――スペインのたのしいお話―― ロバート・デイヴィス文 瀬田貞二訳 フリッツ・アイヘンバーグ絵 岩波書店 1964年

 ポルコさまのこと
けものの仲間を治めるブタのポルコさまが、あなたの悩みを解いて下さること。

 将軍の馬
ある雨の夜、将軍家のうまやばんアントニオがポルコ様を訪ねて来ました。将軍の白い馬の、左の前足がが悪くなってしまったというのです。早速ポルコ様は白い馬に尋ね、足に釘が刺さってしまっていることを聞きだします。ポルコ様はネズミのイスラエルおじさんに協力を依頼して、みんなで釘を抜いてあげるのです。

 セレスチーナさんのぎんのコーヒーわかし
戦火から逃れるため、一時的にぎんのコーヒーわかしを庭に埋めたセレスチーナ。でも後日、いくら庭を掘り返してもコーヒーわかしは見つかりません。泣き続けるセレスチーナを見かねてツバメがポルコさまに依頼、ポルコさまはその夜の様子を見ていたフクロウやモグラの協力を得て、コーヒーわかしを見つけます。

 ひとのことばを話す犬
ひとり暮らしで淋しい思いをしているサルバトーレは、飼い犬のフィデーレがひとの言葉を喋れたら、と思うようになります。その意を汲んでフィデーレに言葉を教えるポルコ。訓練の後、サルバトーレの元に帰る道で人間に話しかけたフィデーレは、人々に怯えられることになりました。

 おもいしったいじめっ子
肉屋の男の子リカルドはとんでもないいたずら坊主。その乱暴さに辟易した動物たちは、彼をこらしめることを考えます。市場の帰り、お弁当をすりかえ、水筒を壊し、靴や上着を隠して、井戸に突き落としました。

 フェリクスじいさんの金ぶくろ
悪い水が出る土地を、フェリクスは三万円で売りました。ちゃんと隠し場所に隠していたのに、晩になると無くなっていました。今まで稼いだお金もろとも。土地を買った二人組が盗んだんだ、と悔しがっています。ポルコ様はネズミと犬の協力を得て、真犯人に辿り着きます。

 パブロのガチョウ
九つになる男の子パブロは知事が主催するコンクールのため、ガチョウを育てていました。順調に育っていたのに、ある日から何も食べなくなります。日に日に痩せて行くガチョウに、原因も分からずパブロはおろろするばかり。一心に祈るパブロに応えて、ポルコ様がコウノトリと一緒に現れます。

 ふざけやのリス、一本ゆび
ポルコ様に対して、嘘をついてクリを独り占めしようとしたリスの一本指。同じようにキツネをからかって、穴ぐらに追い詰められてしまいます。リスの奥さんと子供に泣きつかれて、ポルコ様はウサギにあることを依頼します。

 まねかれないできたおきゃく
ポルコ様のたき木集めの日は、どんな動物もけんかしてはなりません。たのしい集まりに、現れたのはやせこけたクマ。ハンガリーうまれでサーカスで育ったクマはポルコ様にごちそうして貰い、次第に態度が横柄になります。耐え兼ねたポルコ様は、ある計画を思い付きます。…


 瀬田貞二節健在だな、としみじみ感じた一冊。何が何でも日本語にしてやろうという根性、貨幣価値もなんのその、何しろ「三万円」ですからね(笑)。
 スペインの昔話なのに何故瀬田さん、と思ってたら作者はアメリカ人だそうで。スペイン旅行中に聞いた話を一冊にまとめたとか、それは「スペインの~」と言い切っていいものなのかしら、とちょっと疑問に思いつつ。
 将軍の馬の話はアニメの『ニルスの不思議な旅』で似たようなのありましたよね。ガチョウは自分が食べられるのを分かっててずんずん太って行ってるんだろうか、ポルコ様はそれを容認するんだね、とか結構ブラックだよなぁ。
 『紅の豚』は、勿論この辺りも参考にしてのアニメですよね。豚が人格者、新鮮だなぁ。