読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

まほろ駅前番外地 三浦しをん著 文藝春秋 2009年

 『まほろ駅前多田便利店』続編。

 光る石
 多田と行天の便利屋に来たOLの依頼は、同僚のエンゲージリングを隠して欲しいと言うもの。自分より立派な指輪を買って貰ったのが許せない、彼女の部屋の掃除に行ったついでに取って来て欲しいと言う。依頼を受けた行天が指輪を隠した場所は…。

 星良一の優雅な日常
 星良一の生活は忙しい。朝のジョギングに朝食、清海のために弁当を作り、床屋に通い、母親の愚痴の相手をして、自分の縄張りを荒らすチンピラを大人しくさせる。合間にも便利屋から電話がかかってきた。清海が猫を飼いたいらしい。

 思い出の銀幕
 市民病院に入院中の曾根田のばあちゃんのお見舞いの代理に来た多田と行天。曾根田のばあちゃんの思い出話を聞くことになる。「まほろキネマ」で働いていた頃、戦争からなかなか帰って来なかった婚約者を待ちながら、別の男に惹かれていた頃。危険な香りに包まれていたその男と、婚約者との間の奇妙な三角関係の話を。

 岡夫人は観察する
 「バスが間引き運転されている」と主張する夫に、ほとほとあきれている岡夫人。便利屋二人に庭掃除を依頼したが、どうやら二人は喧嘩している様子。原因は同窓会への出欠葉書にあるらしい。

 由良公は運が悪い
 多田は同窓会に出ることにした。行天も出るよう要求するが、嫌がる行天は小学生の由良を見つけて、由良の面倒を見ることを理由に欠席を目論む。由良からすればかえって迷惑なのだが、行天はお構いなし。折角の休みの計画もぐだぐだになって…。

 逃げる男
 便利屋二人は遺品整理を頼まれた。依頼主は柏木亜沙子、亡くなったのは年の離れた夫で、別居していたのだとか。あまりにも膨大な遺品、しかしきちんと整理されていて、女の影は見当たらない。何故いきなり別居を言い出したのか分からない、と嘆く亜沙子に惹かれる自分を、多田は意識する。

 なごりの月
 インフルエンザで倒れた間の、子供の世話を頼まれた。慣れない子供の相手に四苦八苦の二人。そのうち、行天の態度が目に見えて怪しくなってくる。…


 奥付を見て驚きました。2009年十月十五日に第一刷、2009年十月三十日に第二刷。…凄いなぁ、出版社あまりにも読み違えが酷くないか??
 前作から間があいてしまって、主人公二人しか覚えていない状況でして; というかその主人公二人の境遇すらほとんど覚えてないのはどうしたものやら;; 
 なのにこの作品、説明が少ない。いや、この間読んだ堀川アサコさんの作品がとにかく説明過剰で、「…どこかに連載されてたんじゃないよね??」くらいに思ったのに対して、物凄くあっさり。これ誰だったっけ、と思った人物も数知れず;; いや、自分の記憶力を恨みますわ(苦笑;;)。
 でも、面白かったです。一話目のエンゲージリングのくだりなんかは成程、と思いましたし、岡夫人の辛抱強さというか諦めというかには妙にあるある感を感じましたし。…でも私はあんな旦那はイヤかもなぁ。曾根田のばあちゃんの思い出話は、多田と行天での再現ドラマ風で笑ってしまいましたよ。何かいかにもそんな演出で映像化されそう、ってのをパロディしているようで。
 多田には新しい恋の予感、でも何故か物悲しい。行天も色々ちょっかい出してます。相変わらずイラストが妙に色っぽかったです。