読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

聖なる怠け者の冒険 森見登美彦著 朝日新聞出版 2013年

 これは、ある宵山の一日に起こった物語である。
 一年ほど前からそいつは京都の街に現れた。
 虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。
 彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを貰ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが……。
 宵山に賑わう土曜日、京都中の人々がぽんぽこ仮面を追い掛けて来る。訳のわからないまま、捕まるまいと逃げるぽんぽこ仮面、巻き込まれる小和田君。誰が何の目的で、ぽんぽこ仮面を探しているのか。
 ぽんぽこ仮面のの正体を探るよう依頼を受けた「世界で最も怠け者の探偵」浦本探偵、その助手で普段は女子大生の「週末探偵」玉川さん、小和田君の職場の先輩で、恋人桃木さんと共に、いかに充実した休日を送るかに心血を注いでいる恩田先輩、スキンヘッドで謎のアゼルバイジャン人にも見えないこともない小和田君の上司 後藤所長、ぽんぽこ仮面を捕まえるよう依頼した、アルパカそっくりの顔をした某巨大組織の首領「五代目」。テングブランも赤い達磨も入り乱れ、果てしなく長い冒険が始まる。…
                                    (前半、帯文を写しました)


 あとがきに曰く、朝日新聞に連載されていたものを丸ごと書き直したものだそうで。
 …しまったなぁ、連載当時ちゃんと読んどけばよかった。まるきり別物になっちゃうなんてなぁ。
 とはいえ、冒頭、ケストナーを彷彿とさせる挿絵つきの人物紹介が嬉しい一冊。これきっとオマージュですよね。
 ぽんぽこ仮面の正体は結構早い段階で察しがついてしまいます。だってぽんぽこ仮面と某人物と、同じことを言うんだもの。…夢の中でだけど。そう、全編夢の中でのような出来事。せっかく善行を積み上げてきたぽんぽこ仮面のラストは、可哀想なような解放されたような…。
 怠け者も極めるべきですね(笑)。