読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

メルストーン館の不思議な窓 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著╱原島文世訳 佐竹美保絵 東京創元社 2010年

 英国での出版は2010年。
 
 祖父が亡くなり、メルストーン館を遺されたアンドルー。不機嫌でがみがみやの家政婦、巨大な野菜作りに血道をあげる凶暴な庭師のふたりの暴君にはさまれて、メルストーン館でそこそこ平和に暮らしていけるかに思われた。
 だが、遺産はそれだけではなかった。祖父は魔術師で、魔術につきもののあれやこれやが、ちょっとした手違いから、よくわからぬままアンドルーに引き継がれることになったのだ。
 まず祖父が遺した〈守護域〉と呼ばれる領域の書類を探さねばならない。庭師が推薦してきたのは自分の姪っ子、彼女を秘書として雇えと迫って来る。家政婦は自分の甥っ子を押し付けてきた。
 どたばたのさなか、突然祖父を頼ってひとりの少年があらわれる。エイダンと名乗る少年は、唯一の身寄りだった祖母が亡くなって以来、へんてこな姿をしたやつらに追い回されているのだという。彼はアンドルーの〈守護域〉を侵食している隣人ミスター・ブラウンと何か関係があるらしい。
 エイダンと暮らし、ミスター・ブラウンと争っているうちに、遠い昔に祖父から教わった魔術が徐々に思い出されて来る。巨人に人犬、妖精王の妃まであらわれて、でもそれをあまり不思議に思うことなく受け止めるアンドルー。エイダンの追手も、とうとうメルストーン館まで迫って来た。夏祭りの会場で、全ての人物が集結する。…


 …暑くなってくると、本が読み難くなるなぁ。集中力が途切れて。
 つまりはね、真面目に読んでいなかったせいで登場人物がしっかり把握できなかったんです。似たような名前の人物がたくさん出てきたし、「メルストーン館」と「メルストーン屋敷」と両方出てきたりして。
 それでもやっぱり、この世界観は好きなんですけどね。この世界では当然のことを当然のこととして、不親切なまでに解説せず書いてしまう、だってこの世界では当たり前のことなんだから。そんな「ついてこられる奴だけついてこーい!」な展開なのに頁をめくらせる吸引力。
 これがイギリスファンタジーの底力、なのかしら。