読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ぼくとルークの一週間と一日 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/大友香奈子訳 東京創元社 2008年

 英国での初出は1975年。
 ネタばればりばりあります、すみません;

 デイヴィットは休暇がいやでたまらなかった。両親が死んで引き取られた先の大おじ一家が、何かにつけ面倒を見て貰えることに感謝しろと言うのだ。ある日ついに爆発したデイヴィッドは、大おじ一家に呪いをかけようとする。勿論やり方なんか知らないから、思いついたでたらめな言葉を、怒りに任せて唱えるだけ。ところがいきなり地面が割れ塀が崩れ、一人の少年が現れてしまった。
 ルークと名乗るその少年は、地下の牢獄に閉じ込められていたのだとか。当然、デイヴィッドは信じない。ルークは生来の人懐っこさでたちまちデイヴィッドと友達になり、デイヴィッドのいやな親戚連中や家政婦のおばさんにまで気に入られてしまう。ただ、デイヴィッドの周囲には、ルークを捕まえようとする謎の人物が出没しはじめる。
 火曜日には庭師としてミスター・チュウが現れデイヴィッドを監視し、水曜日にはミスター・ウェディングがデイヴィッドを昼食に誘う。あくまでルークを庇うデイヴィッドに、ミスター・ウェディングは賭けを申し出る。ルークを今度の日曜日まで匿うことができたなら、自分達はもう二度とルークを探したりしない、と。デイヴィッドはその賭けに乗るしかなかった。
 木曜日には赤味がかった金髪の、背の高い爽やかな男が来て、ルークは自分の大事な物を隠したのだと言う。金曜日にはフライ夫妻をはじめとした謎の人物全員がおじの家に押しかけて来て、結局デイヴィッドはルークを呼び出す羽目に陥ってしまった。
 改めて、ルークを解放する取引が交わされた。ミスター・ウェディングたちが探しているもの、ルークが隠したとされるものをデイヴィッドが探し出すこと。ただし、探し物が何なのか気付いたり、ルークが場所を教えたりするとそれは永久に見つからない。
 ヒントを求めてデイヴィッドは動く。ミスター・ウェディングの大がらすの案内でウェンズデイ・ヒルの三人の老婆に会いに行き、探し物を隠した人物を知っている男の居場所を訊き出す。ウォールジーの娯楽場でドラゴンと共にいた男やその仲間に手荒い歓迎を受けつつ、サンダリーヒルの病院へ行けという助言を受ける。ファイアストーン病棟で、デイヴィッドは探し物が何だったのかを知る。そして、ルークの正体も。…

 ええとですね、ミスター・ウェディングとの昼食、片目で大がらすのお供がいる、って辺りでこの人たちの正体に気付きましてですね。そうなったらもうわくわくですよ、うわぁ、だったらルークってあの人物(?)じゃん、そしたら赤っぽい金髪は誰だ、ミスター・チュウって誰のことだ、って。それと共に、イギリスではこんなお話が何の説明もなく書けるくらい北欧神話がメジャーなのか、ってびっくりしましたね。
 「探し物が何か知らない人にしか見つけ出せない」とか「依頼人が誰か言ったら見つからない」とか、こういう条件の付け方好きだなぁ。悲劇的な終わり方をする神話を題材に取ってるのに、妙に明るくてハッピーエンドなのも好き。アストリッドとデイヴィッドがこれからどう暮らしていくのか、ちょっと気になる所ですね。