読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

訪問者 恩田陸著 祥伝社 2009年

 顔のない男、映画の謎、昔語りの秘密――
 ひとくせもふたくせもある人物が集まった嵐の山荘に
 死の影が忍び寄る……。
 物語の魔術師が贈る熟成のサスペンス!         (帯文より)  …なんだそうで。

 ネタばれになってるかな、すみません;
 
 湖畔のとある別荘を、二人の男が訪れた。井上と長田、雑誌記者とカメラマンと名乗っているが、実は弁護士と映画カメラマン。共通の友人である新進気鋭の映画監督・峠昌彦の事故死に疑問を感じ、生前預かっていた遺言書を手に、遺族に当たる人物を探りに来た。
 母一人子一人だった昌彦を、幼い頃預かっていた保育園を経営していたのは故・朝霞千沙子。その兄弟は朝霞財団の理事長を務める千蔵、歴史学者朝霞千次、やはり父親・朝霞大治郎の事業の一部を任されていた朝霞千衛、末っ子の宮脇千恵子、その夫の写真家・宮脇協一郎、家政婦の更科裕子。昌彦の幼馴染・羽澤澄子の娘・愛華
 前もって朝霞家には、「訪問者に気をつけろ」と書かれた手紙が届いていたらしい。井上達への不信感が募る中、別荘には訪問客を告げるベルが鳴り響く。ある時は羽澤澄子が現れ、ある時は昌彦が大事にしていた木彫りの象が置かれていた。愛華はその昔湖で亡くなった千沙子が立っているのを見たと言い、雷雨の降り注ぐ中、見知らぬ男の墜落死体が発見される。
 湖畔にあるという隠し財産、不審な千沙子の死、昌彦の父親への拘り、死体の正体。
 土砂崩れで道路が閉ざされているのに、翌朝また来客を告げるベルが鳴る。玄関に立っていたのは劇団員だと名乗る青年・小野寺敦だった。…

 各章「来客を告げるベルが鳴った」で始める洒落た作り。章題は有名な絵本の名前、装丁もいかにも海外のペーパーブック仕様。…第一印象はもろ好み!です!(笑)
 もうわくわくして読んでしまう。一癖も二癖もありそうな登場人物、みんな何かを隠してそう。過去の出来事と現在の事件が交錯して、最後に全てが明らかになる構成。私、『木曜組曲』も大好き!ですもの(笑)。
 それでも、いや待てよ、恩田さんのこの手の作品は最後に肩すかし喰らうことも多いんだよ、と自分の期待感に保険をかけつつ読みました。…この辺りが私の可愛くないとこだよなぁ(苦笑;)。
 で、やっぱり肩すかしを喰ったような喰わないような…。謎全てに解答が与えられたので、一応満足するべきなんでしょうね。みんな良い人で終わっちゃったのね~、何だか「訪問者に気をつけろ」の手紙の意味が、最後は結局無かったような気がしないでもないんですが。でも千次さんはかっこよかったよ。