読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

退出ゲーム 初野晴著 角川書店 2008年

 連作短編集。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 穂村千夏、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。
 上条春太、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。
 音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに――。
 化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即興劇対決「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリの決定版。                          (出版社HPより)

 結晶泥棒
幼馴染のハルタが登校拒否をしている。待ち受け画面にしていた思い人を、皆に見られてしまったから。一人部屋代わりのアパートを訪ねたチカは、文化祭を前にして実行委員会が頭を悩ませている案件をハルタに相談する。それは、化学部が文化祭に発表するために作成していた硫酸銅の結晶が、何者かに盗まれた事件だった。

 クロスキューブ
人数の少ない吹奏楽部に、是非ともスカウトしたい人材がいる。オーボエ奏者の成島美代子、中学生の時憧れの普門館に出場した実力者。だが彼女は、コンクールの最中に病弱な弟を亡くしたことから、音楽から遠ざかっていた。吹奏楽部に入ってほしい、との二人の言葉に、成島は真っ白なルービック・キューブを差し出す。ゲーム好きな弟が遺した謎、このキューブを解いてみせろ、と。

 退出ゲーム
中国系アメリカ人マレン・セイは、養父譲りのサックス奏者。今は演劇部に所属しているが、部活に真面目に取り組んでいる様子もない。何とか吹奏楽部に引き抜きたいハルタと成島は、チカを巻き込んで演劇部部長名越に直談判、だが話はこじれて何故か即興劇で対決をする羽目に。
とある状況で、自然な流れで相手方の「ある一人」――吹奏楽部にとってはマレンを退出させれば勝ちとなるゲーム。「ニセ札犯、時効十五分前の状況で、潜伏場所から退出できるか?」――ハルタ達はマレンを退出させられるのか。

 エレファンツ・ブロス
三月初旬、終業式まであと二週間。生徒会執行部のトップ日野原秀一に、チカは呼び出された。練習場所確保を条件に、発明部の起こしたごたごたを解決してほしい、とのこと。依頼事項は発明部の新製品「オモイデマクラ」を購入した人物二人の特定、一人は何とハルタだったが、残る一人が分からない。手掛かりはその人物が指定した「エレファンツ・ブロス」という謎の色だけ。
結局隠しカメラによって、購入者は判明した。4月入学予定の後藤朱里、中学三年生。彼女は祖母を捨てた祖父が今頃になって現れたことに憤慨し、彼が思い出せない過去を夢で見せつけてやりたいのだという。祖父を訪ねた面々は、壁に貼られた朝焼けの中のゾウの絵に息をのむ。…


 アニメで興味を持った作品。…とか言いながら、内容あまりしっかり覚えてなかったんですけど(苦笑;)。
 確かアニメの第一話のオチが、ハルタの思い人が誰か分かる、って感じだったと思うんですが、原作はもうそれが既知のこととして進んでいくんですね。で、先生のことが描かれるのはもう少し後なんだ。アニメは吹奏楽部のメンバーのエピソードに特化してたんですね。
 「硫酸銅って劇薬なのか、劇物じゃなかったっけ??」と少々疑問に思った第一話、なるほど、熱帯魚には薬なのか。それにしても鍵かけて保管してなかったのかとか、粉末の状態のもあっただろうとかやっぱり疑問が拭えない。その後の話も少々無理がないか、と正直あまりすっきりはしない状態で読んでいたんですが、最終話「エレファンツ・ブロス」で衝撃が来ました。…え、こんな重いテーマ入れて来るの? 青春ミステリで??
 居住まいを正された気分でした。…いや、すみません;