流星の絆 東野圭吾著 講談社 2008年

　ネタばれというか、後ろの方まで粗筋書いてます、すみません；

　有明功一、泰輔、静奈の兄妹がペルセウス座流星群を見に家を抜け出した夜、両親が殺された。自宅も兼ねた洋食店『アリアケ』の一階、居住区間で刺殺されていた。犯人の手がかりは残されていたどこにでもあるビニール傘と泰輔の目撃証言、しかし捜査は一向に進展せず、14年の月日が流れた。
　施設を出た後、兄妹は詐欺師になった。功一が青写真を描き、静奈の美貌と泰輔の演技力を生かして冴えない男から金を巻き上げる。次のターゲットとして選んだのが洋食屋『とがみ亭』の御曹司・戸神行成。まんまと行成に近付いた静奈だったが、『とがみ亭』のハヤシライスを食べて思わず涙する。それは彼女たちの父親が洋食屋『アリアケ』で出していたハヤシライスと全く同じ味だった。その上、行成の父親・政行は、泰輔があの日見た店から出て来た男とそっくりだと言う。
　父親が試行錯誤を繰り返して漸く完成させたハヤシライスが、何故『とがみ亭』の名物メニューとして出されているのか。父親と政行との接点を探す功一。どうやら当時、ギャンブル好きの父親がよく出入りしていたノミ屋に、政行は食事を届けていたらしい。
　両親を殺してレシピを自分のものにしたのではないか。しかし、今さら警察に通報しても政行を追い込めるとは思えない。功一たちは警察の眼を政行に向けるため、証拠を偽装し始める。
　盗難車の中に父親の時計等の入ったキャンディ缶を置いておく、一緒にやはり大量の盗難アダルトDVDを置く。そのDVDは元の『とがみ亭』一号店、今はDVD屋になっている店から盗んだもので、キャンディ缶はいかにもその天井裏から持ち出した物のように偽装した。思惑通り、警察は政行をマークし始めた。だが、当時この事件を担当していた老刑事・柏原だけは「あまりにも都合が良すぎる」と疑問を投げかける。
　動きの鈍い警察への最後の一押しとして、静奈は父親のレシピノートを戸神の家に隠す。しかしこれは行成に見破られ、行成は静奈を詰問、自分の父親に掛けられている容疑を知る。
　自分の父親は殺人犯なのか。行成は兄妹と共に、政行を罠に仕掛ける。口を滑らせた政行は、しかしあくまでも自分は犯人ではない、と言い出す。…

　これはヒットする筈だわ。
　これは珍しくTVドラマを先に見てました。ドラマ、原作に忠実だったのね～。しかも戸田恵梨香ハマり役！　上二人の兄は正直あってるとは思わなかったんですが、静奈だけはまるっきり戸田恵梨香さんで浮かびました。で、内容ほとんど覚えていたにもかかわらず、まぁ面白いこと！　すらすら読めましたね～。警察に政行まで辿り着かせるためのあれこれ、戸神邸の書庫でレシピノートが見つかった訳、それを静奈の仕業だと見抜いた理由、で、最後に明かされる意外な犯人。それもちゃんと伏線引いてあるし、東野さんには珍しく後味いいし。
　やっぱ東野さん巧いわ、とつくづく思わされました。