読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

犯人のいない殺人の夜 東野圭吾著 光文社 1990年

 短編集。
 ネタばれになってる気がします、すみません;

『小さな故意の物語』
 行原達也が高校の屋上から落ちて死んだ。小学校からの親友・中岡良には、自殺とはとても考えられない。同じく小学5年から達也とつきあっている佐伯洋子にも心当たりはなかった。
 目撃者の証言から、何か光る物が達也の眼を眩ませたことがわかる。当時、現場の屋上が見える隣の校舎の被服室には、達也に横恋慕した後輩の女生徒がいた。

『闇の中の二人』
 永井弘美が受け持っているクラスの男子生徒・萩原信二の弟が殺された。父親の再婚でできた弟はまだ三か月。夜中忍び込んだ泥棒が泣き出した弟の首を絞めたらしい。だが、継母が浮気をしていたことから、事件の様相は変わってくる。

『踊り子』
 水曜日の夜、女子高で新体操の練習をしている生徒がいる。ジーパンにTシャツ姿で舞う彼女に、孝志は恋をする。何とか彼女に思いを伝えたい。家庭教師・黒田のアドバイスもあって、こっそりスポーツドリンクを差し入れする孝志。だが彼女の練習は途絶えてしまう。何故彼女は姿を消したのか、黒田が代わりに確かめてみる。

『エンドレス・ナイト』
 大阪の支店に勤め、単身赴任していた夫が店で刺殺された。妻の厚子は大阪嫌いで、夫と離れて暮らしていた。大阪に向かう新幹線の中で、幼い頃、商売に失敗して首を吊った父親の記憶がよみがえる。

『白い凶器』
 ある食品会社の社員が次々に死んで行く。窓から転落したり、交通事故にあったり。同じ課で働く中町由希子は、先月流産して夫の忘れ形見を亡くしたばかりだった。

『さよならコーチ』
 アーチェリーの選手・望月直美が死んだ。遺書代りに自分を映したビデオを残した上、タイマーをセットしての感電自殺。彼女は一年前にも自殺を企てたことがあり、その時にも同じ方法を取っていたと言う。コーチに疑いの目が向けられる。

『犯人のいない殺人の夜』
 拓也の家庭教師先の生徒・岸田隆夫が、安藤由紀子と言う女性を殺してしまった。何とか隠蔽したい一家は、もう一人の家庭教師・雅美と、隆夫の兄・正樹と共に山の中に死体を埋めに行く。数日後、由紀子の兄と名乗る男・和夫が岸田家を訪ねて来る。やがて由紀子の死体も発見された。警察は和夫の情報を元に岸田家と拓也・雅美を追い詰め、さらにそこに重ねられた真相も見抜く。…

 東野さんの作品はこの頃、昔の作品でもなかなか書架に並びません。久しぶりに見つけたのがこれです。
 短編だけあって登場人物も少なくて、だから犯人は分かっちゃうんですが(苦笑;)、そこからさらに一捻り。表題作なんて本当に上手い。読まされちゃうなぁ。
 犯行動機が浮気だの不倫だの金だの、どうもやっぱりぎすぎすしますね~。まぁ、仕方ないんですけど。