読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

御師 弥五郎 お伊勢参り道中記  西條奈加著 祥伝社 2010年

 お江戸日本橋から伊勢・大和まで、とあるお店の旦那をお伊勢参りに案内することになった伊勢の神職 御師・弥五郎の道中記。
 ネタばればりばりしてます、すみません;

 第一話 旅立ち
 夜道で侍に襲われていた材木商・巽屋清兵衛を、ひょんなことから助けた伊勢の御師見習いの弥五郎。それを恩に思ったのか、清兵衛は弥五郎の案内で、伊勢詣をしたいと言い出す。元々巽屋には別の御師が出入りしている。それを振ってまで弥五郎を頼むと言う不審さ、加えて弥五郎自身も故郷の伊勢に帰りたくない事情があって、弥五郎はとにかく気が乗らない。だが上司に当たる手代頭の惣七も参加して、結局伊勢詣に出かけることに。清兵衛が命を狙われていることも考えて、団体での伊勢参り・蛙講に交じって、こっそり日本橋を出発した。
 呑気に贅沢に進む一行に苛立ちを隠せない清兵衛。川崎宿を過ぎた辺りで、村の代表で伊勢参りに行くという一人の百姓も旅の仲間に加わったが、それは清兵衛の刺客だった。撃退はしたものの、弥五郎はその手の込んだやり方に疑問を抱く。しかし清兵衛は何も語らなかった。

 第二話 小田原
 小田原の手前、平塚宿に近い梅沢の立て場にて。
 弥五郎一行は「おかげ参り」の噂を聞く。「おかげ参り」とは、いちどきに大勢の人々が、伊勢を目指し参拝する騒動。押し寄せる人々に街道沿いではあらゆるものが困窮し、混乱が起きる。果たして、小田原の宿は混雑を極めていた。誰か陰で「おかげ参り」をわざと起こした奴がいる。御師の仕事に懐疑的な弥五郎はそんなことにあまり興味はないが、惣七は犯人を突き止めようと大わらわ。きっかけとなった『おふだふり』があったと言う尾谷村へ向かう。村人を追い出したい理由は何だったのか。そんな一行の後を、こっそりつける女の姿があった。

 第三話 浜松
 清兵衛の娘・千代も同行して浜松へ。
 旅の途中で一緒になった子供たちが、夜半、宿で清兵衛の荷物を盗んで逃げた。子供たちは地回りのやくざに話を持ちかけられ、やくざはとあるお武家から頼まれたと言う。清兵衛は懐刀と書付を取り戻してくれと弥五郎に頼む。
 
 第四話 桑名
 桑名の宿で出会った飯盛女・お冬は、病に侵されていた。縁があって弥五郎の部屋に泊まらせた翌日、彼女は身請けされたと言う。相手は浅草の料理茶屋『喜楽』の手代・糸次、蛙講の参加者の一人お世の手形を騙し取って、その金を使ったらしい。お世は『喜楽』の主人のお妾で、実は糸次とこっそり駆け落ちの約束をしていたらしい。

 第五話 松坂
 松坂には、弥五郎の幼馴染・彦右衛門が迎えに来ていた。弥五郎が伊勢を出た理由と引き換えのように、清兵衛の生い立ちが明かされる。元は大和の砥野藩千原家に仕える武士だった清兵衛は、お家の財政立て直しのため、他の仲間三人と共に泣く泣く千原家お抱えの商家になったこと、しかし君主が代替わりしてからはその苦労も認めて貰えなくなったこと。その上天領の吉野杉が横流しされた罪を被せられそうになったこと。またしても清兵衛を襲う侍たちの、手引きをしたのは彦右衛門だった。

 第六話 伊勢
 伊勢での虚飾に満ちたもてなしに、相変わらずの疑問を抱く弥五郎。しかし、義理の兄・籐の丞も弥五郎の帰りを歓待してくれた。弥五郎は伊勢を出ることになった因縁の相手・隻鮫の甚兵衛と決着を着ける。

 最終話 大和
 いよいよ大和へ向かう清兵衛。藩主と会う前に、同じ用命を受けた三人の商人と旧交を温める。藩主が代わってからの報われなさを嘆く三人に、あくまで清廉に相対する清兵衛。藩主に疑われては仕方がない、商家をたたむと言うあくまで潔い清兵衛の態度や、彦右衛門を巻き込める人物の心当たりから、弥五郎は清兵衛を襲った真犯人に思い当る。…

 そう言えば江戸を舞台にしていない時代小説ってあまり読んだことないかも、と改めて思いました。いや、読んでる冊数自体が少ないからなぁ。
 さくさくすらすら読めたんですが、何だろう、何か物足りない。…これ、西條さんの作品読むと毎回言ってるよなぁ; きっとハッピーエンドだよねぇ、みたいな感じではらはら感もないし。せっかくのお伊勢詣道中記なのに、その蘊蓄すらあっさり素通りしてあまり入って来ないのは何故?? ちゃんと描写があるのになぁ。私が地理に弱いせいかしら??
 何か私の頭の中に、もう一つこなれて入って来ませんでした。…どうしてかなぁ。