『みをつくし料理帖』シリーズ第4弾。
花嫁御寮――ははきぎ飯
久しぶりに来た小松原は、小さな種のようなものを落として行った。医師の源斉から、澪はそれが地膚子として腎臓の病に効果のある、ほうき草の種だということを知る。小松原の身を案じる澪は、それを料理として使えないかと考える。同じ頃、日本橋伊勢屋の娘・美緒のことを聞いて回るお武家さまが現れた。美緒はどこかで見染められたらしい。
友待つ雪――里の白雪
戯作者・清右衛門が、吉原を舞台に作品を書く、と言い始めた。しかも、あさひ大夫を題材にする、と。取材は進み、とうとう野江が吉原に売られた経緯が明らかになる。野江をそっとしてほしい、と望む澪は、清右衛門に取引を持ちかける。
寒梅――ひょっとこ温寿司
つる屋のお運びをしているおりょうの旦那・伊佐三の様子が、この頃おかしい。しかも伊佐三に惚れた、という女まで現れる。私なら伊佐三の子供を産んであげられる、と言い放つ女。太一の子盗りまでして、伊佐三と一緒になろうとする様子におりょうは心を痛める。
今朝の春――寒鰆の昆布締め
今年は料理番付が出なかった。つる屋と登龍楼とで票が分かれ、決着がつかなかったからだ。版元の聖観堂は、同じ食材を使って料理比べをしよう、と提案して来る。食材は寒鰆、種市はまさしく乗り気で承諾。澪は思案し、また小松原のことでも気がそぞろになって、包丁で指をざっくり切ってしまう。…順々に、それぞれの背景が明らかになっていきますね。野江が吉原にいる経緯も明らかになりました。
四千両で三人に囲われてそれぞれのお相手をする境遇、というのが旭日昇天の相の行き着く先というのは切ないなぁ。それが粋というものなら、江戸っ子の粋ってのは私には判らないなぁ、三人の間に独占欲はないんだろうか。
澪には天満一兆庵の再建の上に、野江の身受けという目標も乗っかってしまいました。左手の怪我も重い様子、課題は山積みです。次巻に続きます。