読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

首無の如き祟るもの 三津田信三著 原書房 2007年

 舞台は奥多摩の奥深くの〈媛首村〉。淡首様の呪いと言う伝説があるこの村の秘守家に、天涯孤独の身となった幾多斧高は使用人として引き取られた。一家の当主は一守兵堂、男女の双子に恵まれたが、特に男児に祟りが起き易いと言う事で、全ての呪いが女児に掛かるよう、極端な男尊女卑の扱いをする。そのせいか娘・妃女子は体が弱く、性格もかなり猛々しい。斧高は優しい息子・長寿郎に懐いて行く。
 13歳になった二人は、一晩を祭祀堂から媛神堂、栄螺塔を巡って婚舎で過ごす「十三夜参り」の儀式を行う。長寿郎の身が心配でこっそり陰から見守っていた斧高は、長寿郎の後から首の無い女が現れ、更にその後に妃女子が続くのを見てパニックを起こす。果たして、婚舎に妃女子は姿を見せず、禊をした井戸から妃女子の死体が発見される。何故かその体には首が無かったらしい。
 お堂のある山はそれ自体密室状態、誰も妃女子を殺せた者はいない。一守家も事を荒立てたくはないらしく、検死さえ待たず妃女子の遺体は火葬される。村の巡査・高屋敷元は納得行かないが、事件の捜査は打ち切られる。
 戦争を挟んで十年後、二十三夜参りも無事に済んだある日、長寿郎の花嫁選びが行われる。候補者は三人、分家筋の二守竹子と三守華子、遠縁に当たる古里毬子。毬子と長寿郎は推理小説の愛好家として、文通ではあったが交流があり、他の二人の妬みを買っていた。その日、婚舎の三部屋のうち一室で、毬子の全裸死体が発見される。死体の首はやはり切断されていた。
 続けざまに、これも全裸の、首の無い男の死体も発見される。指紋から長寿郎と判明、ショックを受ける斧高。さらに、二守家の次男・紘弐の首無死体と長寿郎の頭部も発見された。
 二つの事件は関わりがあるのか、淡首様の祟りなのか。兵堂は、実は斧高は自分の隠し子である、とまで言い出す。毬子と同性愛の噂のあった男装の麗人・江川蘭子は斧高に、自分の秘書にならないか、と持ちかける。
 二十年後、推理小説作家となった高屋敷元の妻が、当時を回想し、事件を書き綴る。そんな彼女の元を怪奇幻想作家・刀城言耶が訪れ、謎を解く。…

 三津田さんの作品を読むのは初めてです。
 …うわぁ、本格だぁ。
 この頃頓に記憶力が衰えた私は、謎に挑戦なんて初めっから丸っきり思ってませんでしたが、これは本当に騙された。最後の最後まであるどんでん返し、こんな所にまで仕掛けがあるとは思わなかった! これは気が付かないよ~;;
 本当の最後のあれは、一体誰の仕業なんでしょう。怪奇物の雰囲気も残しつつ、斧高君の今後も気になりました。…やられたなぁ。