読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

烏に単は似合わない 阿部智里著 文藝春秋 2012年

 第19回松本清張賞受賞作品。
 ネタばれあります、すみません;

 人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合う。
 春殿を与えられたのは東家の二の姫、あせび。病に倒れた姉姫の代わりに、急遽登殿することになった。おっとりした無垢な性格、長琴の名手として鳴らす。先代の妃選びの際、母親と今上陛下との間に何かがあったらしい。
 夏殿を与えられたのは南家の一の姫、浜木綿。今の妃の姪っ子に当たる。さばさばと歯に衣着せぬ物言い、贅沢にもあまり興味はないらしい。
 秋殿を与えられたのは西家の一の姫、真赭の薄。若宮のことを一途に慕い、自分磨きにも余念がない。
 冬殿を与えられたのは北家の三の姫、白珠。産まれた時から若宮の妃となるべく、教育を受けてきた。強迫観念とも言える位に。
 だが、肝心の若宮・奈月彦が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?                             (出版社HPの紹介文に付け足しました)


 sinobuさんが紹介されていて、気になっていた一冊。図書館所蔵数2冊、40人以上の予約待ちを越えて漸く読めました(笑)。
 一応ミステリになるのかな、すんごいミスリード。ただただ善良で無垢に見えたあせびの本質、意地悪女子の典型に見えた真赭の薄の一途な可愛らしさと誇り高さ。どんでん返し的なものを、人間の内面で見せるとは。これ、地の文での嘘にはならないんですよね、だって本人そう思い込んでるんだもの。
 いよいよ待ち焦がれた若宮が、まぁ待ち甲斐のない人で(笑)。白珠への態度とか、あせびにも、騙されたふりをしていればいいのに一応言ってしまうスタンスとか、わざと露悪的に振舞ってはいるんでしょうが、それでも言い方がないかい?(笑) 現実的に、白珠と一巳との駆け落ちは大変だと思うしねぇ。
 読み終わって連想したのは一条ゆかり著『有閑俱楽部』でした。…何となくキャラクターが重なったのかな。
 それにしても松本清張賞、節操ないなぁ。