読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

容疑者Xの献身 東野圭吾著 文藝春秋 2005年

 直木賞受賞作。
 ネタばれになるかもしれません、すみません;

 花岡靖子は中学生の娘・美里とアパートで二人暮らし。ホステスを辞めて今は弁当屋で働いている。ある日別れた前夫・富樫が彼女の元へ現れ、復縁を迫る。娘にまで手を掛けそうな富樫の様子に、靖子は勢い余って富樫を絞殺。うろたえる母娘に、隣室の高校数学教師・石神が声を掛ける。何も気にすることはない、全て自分が上手く片付けるから。
 ――旧江戸川の河川敷で死体が見つかったのは数日後。全裸で顔も歯も指紋も潰され、傍には盗難届けの出た自転車。捜査に加わった刑事・草薙は靖子のあまりにも完璧なアリバイに疑問を抱き、物理学者・湯川に相談を持ちかける。湯川と石神は大学の同窓生、お互いに才能を認め合う友人同士だった。
 靖子に好意を持って近付いて来る男・工藤、彼に穏やかならぬ気持ちを持ちながらも冷静に時局を見極め、母娘にアドバイスを寄せ続ける石神。最後まで彼女達を庇う石神の気持ちに気が付きながらも、湯川は真相に辿り着いてしまう。石神が自ら引き返せなくなるよう、断っておいた退路とは。…

 このトリック、分かる人には分かったんじゃないかなぁ。
 私でも「あれ、あそこどうだったっけ」って思った所あったし。何度も出てくるホームレスの描写、犯行日時。余程前の頁めくって確認しようかと思いつつ、でも折角だから止めときました(笑)。だって作者に悪い気が…(笑)。
 湯川氏の学生時代の描写「髪を肩まで伸ばし、シャツの胸元をはだけて首には金色のネックレス」――おいおい、ちょっと待てよ、今までガリレオ先生をそんなイメージでは見てなかったぞ(笑)。
 「考察というのは、考えて察した内容のことだ。実験して予想通りの結果が得られたのでよかったというんじゃあ、単なる感想なんだ」の台詞に、思わず首を竦めました。…学生時代、大部分をこれで誤魔化したからなぁ。東野さんの短編であったように、私は何しろ「エセ理系」ですから(笑)。
 湯川氏がいる以上、石神のトリックが崩されることは既定なんですが、でもやっぱり最後はじわっと来ました。…しかし、もっと面白い東野作品はいくらでもあったと思うんだけど、これが直木賞なのね~。