読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

パンツの面目ふんどしの沽券 米原万里著 筑摩書房 2005年

 米原さんのエッセイはどれも好きです。確か新しいのが出た筈なのになかなか見かけないなあと思っていたら、民俗学の棚に並んでました。…書籍の分類って難しいね。
 確かにエッセイではないかも。下着としてのパンツやふんどしがどこから発生して広まって行ったのか、価値観がどう変わっていったのか、自分の経験談も踏まえつつ書いてらっしゃいます。話は下着だけに留まらず、トイレ後の始末の違い、羞恥心の生まれ方やその差、生理用品やそれに対する意識の変化等々、著者の博覧がすごく楽しい。でもとにかく面白いのはやっぱり作者自身のエピソードで、幼稚園の頃、アダムとイブの逸話を聞いて「いちじくの葉はどうして落ちないのか」先生に質問したり、イエス・キリストの十字架を見て「あのオジサンがはいているのはパンツですか、フンドシですか?」と尋ねたり。言われてみたら確かに不思議なんだけど、今まで気付かなかったなあ(笑)。学芸会で白いタイツを履かされた浩一君のその後はちょっと知りたい(笑)。
 米原さんの本はどれも、一つの価値観に偏ってしまっている自分に気付かせてくれます。この事柄はこちらから見たらこうだけど、別の方からではこう見えるんだよ、って目からウロコをぼろぼろ落としてくれる。しかも笑わせて貰いながら。今回、あとがきでご自分の病気を書いてらっしゃいました。これからも「こんな見方があったのか!」って読者の脳味噌を柔らかくして下さい。ご回復をお祈りします。