読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

魔法探偵 南條竹則著 集英社 2004年

 少しネタばれかもしれません、すみません;
 「吾輩」の名は鈴木大切、詩人。早くに両親を亡くし祖父母に育てられた。株式投資に失敗、家屋敷一切を失くして古アパートに居を移す。日々の糧を得るため始めたのが探偵業。最初に来た依頼が猫探しだったが、これが意外な才能を発揮、評判を取って、魚肉ソーセージ片手に路地裏をうろつく毎日を送ることになる。ある夜不思議な洋館に迷い込んだ「吾輩」は、この世にあらざる人々と酒を飲み、詩談義を交わす。以来、不思議な依頼を受けていくハメに陥る。…
 南條さんの本を読むのは「遊仙譜」以来です。あの作品は途中で主人公が替わっちゃって「おやあ?」な感じしたなあ(そういえばその昔、始めは女の子を中心に据えた演劇マンガだったのに何時の間にやらボクシング漫画になっちゃったのがあったっけ・笑)。例えば前半の主人公が後半の主人公に今までの身の上を語る、とかしてみたら…とか思った覚えが; バーチャル世界の仙人達が仙術を出す時の仕草の定義にはすごく納得しました。
 いや、今回の感想、今回の感想;
 何か、持ち込まれる不可思議な依頼に結末を着けず、「ね、不思議でしょ?」で終わってしまう話が多い(ex.ハクビシンを散歩させている人とか泥鰌地獄の作り方とか)。納豆になってしまう男の話なんてもうホラーなんだけど、語り口はあくまでユーモラス。宙づりで終わってる感じを心地よいととれるかどうかが分かれ目だなあ。最後の方で大阪万博が出てきて思わず作者の年齢を確認。1958年生まれだそうで、この位の年の人って本当に万博に思い入れありますね。
 旨い酒と美味しいつまみが出てくるのは相変わらず。ラストはやっぱり宙ぶらりんで終わってる感じがして仕方がありません。詩作はどうなったんだろう。奥さんと離婚して転がり込んできた木内くん(通称キムチ君)なんか、絶対何かに憑かれてると思ってたんだけど。…これ作者続編書くつもりなのかなあ。