読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

姉・米原万里 思い出は食欲と共に 井上ユリ著 文芸春秋 2016年

 プラハでのソビエト学校時代を共に過ごし、最後まで近くで看取った妹、井上ユリ氏(故・井上ひさし夫人)が綴る、姉・米原万里の思い出。
 ロシア語通訳であり、その体験を生かして綴ったエッセイやノンフィクションで読売文学賞大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した米原万里氏は、食べることが大好きだった。その食べる速度の速さも量も、実は父親ゆずり。米原家の血なのか!?
 プラハの小学校時代、レーニンの映画を観ては一緒にじゃがいもと卵をゆでて貪り、のちに椎名誠を読んでは時間差でカツ丼を食べに走り、姉・万里の思い出はいつも食べ物と分かちがたく結びついている。プラハの黒パン、ソーセージ、鶏卵素麺、チェコの森のキノコ、父の味・母の味、「旅行者の朝食」や「ハルヴァ(トルコ蜜飴)」など、食をめぐる名エッセイの舞台裏を明かす、米原ファン垂涎の一冊。2016年5月で没後10年となる米原万里の著作を振り返りつつ、新たなエピソードを紹介するユニークな回想録。
 家族の蔵出し写真も多数収録。                         (出版社HPより)


 米原さんのエッセイ等は、一時期かなりハマって読んでました。豊富な経験、揺るがない視点、独特の感性。私が今でも何か事件が起きた時、「あの人はこのことをどう評したんだろう」と思う双璧は、ナンシー関さんと米原万里さんです。
 妹さんである著者の万里さんへの思い出は、愛情に満ちていて、でも身内ならではの指摘もあり。そういえば米原さんのエッセイでは、あまりお母さまのことは出てきていなかったなぁ、とふと思いました。確かに美人だ。
 万里さんの記憶違いや話を盛る癖をそっと訂正したり、補充したり。お姉さんのことがメインとはいえ、ご本人の来歴や考えも書かれてらっしゃいます。受けたことのある一番贅沢なサービスが共産圏での別荘、ってのは凄いよなあ。
 サブタイトルにある通り、食にまつわる思い出多数。そうか、パンも発酵食品なんだ、と改めて知りました。
 万里さんのエッセイの内容も随分忘れてることも判明。また読み返さなきゃ。でもハルヴァのことは忘れてませんでした。トルコ行った時にちょっと探したんですが、見つけられなかったんだよなぁ。いずれ食べるぞ、と再び決意したのでしたよ。